アトピー便り

アトピー便り60:一回の処方量

「お薬をいっぱいください」とか「2か月分お薬ください」とか、アトピー性皮膚炎の患者さんの診察時によく言われますが、一回に処方するお薬(外用剤)の量は当クリニックではだいたい決まっています。初診であれば1週間くらいを目途に再診してもらってその時の状況で内容を変更したり、増量したりしますので、いきなり長期間分のお薬を出すことはありません。重症のアトピー性皮膚炎の場合には大量のお薬を処方することはありますが、数日から4,5日くらいで再診してもらいます。症状が落ち着いている場合、長期にわたって受診されている患者さんでは1~2か月くらいの外用量を想定して処方します。
患者さんの多くはもらったお薬をおよそ1~2か月くらい持つようにその範囲内で使われることが多いのですが、アトピー治療の外用剤の使用に関しては症状が良くならないときには、FTU(成人の人差し指の先から第1関節の長さまで外用剤のチューブから出した量を成人の手のひらの面積約2枚分に塗る)を参照して適切な量の外用を続けなければなりません。外用が不十分なために症状が良くなっていないケースでは処方量を増やすことがありますが、実際の使用量が変わらずに次回受診日が遅れるだけで症状が変わらないことも少なくありません。このような場合には患者さんのご要望に応じて外用剤の処方量を機械的に増やすだけではいけません。
アトピー性皮膚炎の診療では先ず皮疹の評価、経過の把握、必要に応じて悪化因子の検索を行ないながら治療を続けていきますが、症状がなかなか良くならないときには正しい外用方法を指導したり、きちんと外用できているかどうかを逐一チェックする必要があります。まとまった量のお薬の処方だけをご希望になる患者さんも少なからずいらっしゃいますが、必要に応じてこれらを適宜行なう必要がありますのでご理解ください。尚、治療期間が長くて症状が安定している場合、患者さんが混み合っている時や終了間近の受診では診察時間が短かったり、十分に診察時間をとれないこともありますのであわせてご理解いただければと思います。
アトピー治療での一回の処方量は初診か再診か、重症か軽症か、合併症があるかどうか、悪化因子がはっきりしているかどうか、など多くの要因によって変わってきますし、皮膚科ごとの患者さんの混み具合(混み合うところは大量に処方される傾向あり?)や皮膚科医によって考え方が異なりますので、皮膚科医ごとで一回の処方量も変わってきます。最終的には一回に塗る量と塗る期間(受診間隔)で自ずと処方量は決まってきます。症状によって薬自体の内容や一回に塗る量も変わりますし、受診間隔が空けば処方量は増えます。当クリニックでは中~重症のアトピー患者さんを診る機会も多いのですが、1~2週くらいを想定した処方量で1~2か月ごとの受診を繰り返されている患者さんでは症状がだらだらと続いてしまいます。症状の改善しないアトピー患者さんの多くでステロイド外用剤の使用不足と保湿剤(特にヒルドイド)の過剰使用(特に幼小児で)が見られますので、アトピー診療ではこれらを適切にチェックして、指導していくことが大事です。尚、アトピーの7,8割を占める軽症患者さんでは保湿剤中心でステロイド外用剤の使用量も少なくて済みます(受診間隔は空くことも多い)し、重症の患者さんで適切に外用していても良くならない場合には悪化因子の検索(検査)や外用剤以外の治療を検討する必要があります。アトピー治療は十人十色、患者さんごとで変わりますので治療に関しては周りの人の受け売りだけは決してしないように気をつけてください。最後にもう一つ気に留めていただきたいことがあります。アトピー患者さんの中にはごく一部ですが、複数の医療機関で外用剤をこっそり処方してもらっている方がいらっしゃいます。通常の診療では皮膚症状をみて前回までの処方内容(前医のお薬手帳も含めて)とそれまでの受診間隔から皮疹の状況を把握して次の処方を決めていきますが、患者さんからの申告がなければ他医での処方(治療)に関しては全く把握できません。症状のかなり強い方が半年に一度くらいしか受診されていない(多くは症状はほとんど良くならずに再診を繰り返している)ケースでたまに他の医療機関でも外用剤を繰り返しもらっていることが分かることがあります。ヒルドイドに依存しがちな軽症例も含めて、症状をきちんと治すためには一番信頼のおける主治医もしくは継続して通院しやすいところ一か所に絞って必要に応じて繰り返し受診されることをお勧めします。

2018/2/9

 


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