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(第2回)アトピ―性皮膚炎患者のドクターショッピングについて

 アトピ―性皮膚炎(AD)は、以前は思春期頃にはほとんどが自然に治る疾患として扱われてきましたが、最近は子どもの重症例や成人になってもひきつづき ADがみられることもめずらしくなくなりました。そのためにADの患者さんのなかには治療を受けていても良くならないということで病院を次々と替えていく、いわゆるドクターショッピングを続けている方が少なからず見られます。一般的な皮膚科専門医であれば、ADの治療方針、治療内容には大きな差はないものと考えます日本皮膚科学会によるアトピ―性皮膚炎治療ガイドラインでも、「治療の目標は患者を下記の状態に到達させることにある。(1)症状はない、あるいはあっても軽微であり、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない(2)軽微ないし軽度の症状は持続するも、急性に悪化することはまれで悪化しても遷延することはないなお、ADは遺伝的素因も含んだ多病因性の疾患であり、疾患そのものを完治させうる薬物療法はない。よって対症療法を行うことが原則となる」と謳(うた)っています。実際にたいていの皮膚科専門医はこれらの考えに基づいて治療を行っています。ドクターショッピングを続けられる方を大きく二つに分けますと、ステロイドを使わずに症状を治したいという場合と新しい治療を行いたいという場合に分けられます。前者については、症状が強い時にはステロイド剤を使わずに治すことはほとんど不可能ですし、後者についても、タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)の外用が小児においても適応となった現時点ではトピックスとしての新しい治療法はありません。
 ADでは、幼児期の卵などの食餌因子に対するアレルギー、ダニやホコリなど環境因子に対するアレルギー、敏感肌に基づく皮膚の乾燥症状、日常生活習慣における皮膚刺激、ストレスによるかゆみの増強、掻き癖による症状の悪化、薬自体による皮疹の悪化など様々な病因、悪化因子があげられます。軽症のADではステロイドの治療だけでたいていの場合、良くなりますが、重症の難治性のADでは上記の悪化因子を除かなければ症状の改善が期待できません。実際に入院施設で重症のADの治療を行う場合、最初のうちはステロイドを使いますがしばらくするとワセリンの外用だけでも症状が落ち着いてきます。ところが、これで治ったと考えて試験外泊をするとまた元に近い状態にすぐに戻ってしまいます。これは環境因子が大きく影響しているケースで、難治性のADで最も多く見られます。このような場合には環境因子の改善なしには症状の改善は望めません。つまり、難治性のADではこのような症状の悪化因子を見つけ出して、それを取り除くことが必要になります。
 ADでステロイドを使わずに治るケースというのは、軽症例でスキンケアのみで症状が安定しており、かつ悪化因子が完全に除去されている場合に限られますこのような場合には、症状が悪化して仮にステロイドを一時期使ってもそれ以降に悪化因子がなければ再びスキンケアのみでステロイドを使うことなく治療することができます。中等症以上の場合でも、一度ステロイドで症状をおさえれば悪化因子を除くことができればステロイドを使う必要はありません。しかし、現実的には軽症のADでは悪化因子を取り除くことは可能ですが、中等症以上の例では悪化因子が不明な場合があったり、実際に取り除くことが困難な場合が多かったりしますので症状をコントロールして悪化させないようにするためにはステロイドが必要になってきます。逆にこのような場合にもステロイドを使わなければ、症状が悪化してさらに皮膚が敏感な状態になって余計に皮膚炎を起こしやすくなりますので、この悪いサイクルを断ち切るためにもステロイドでの治療が必要になります。
 ドクターショッピングを続けると、新しい皮膚科医にかかったときにそれまでの経過やその時点での治療効果などがはっきりしませんので適切な治療を行って直ちに良い結果をもたらすことは非常に困難です。その結果、やはり良くならないということでさらにドクターショッピングを続けるという悪循環におちいるケースもよく見られます。一人の信頼のおける皮膚科専門医にかかられて、悪化因子を医師と患者さんが一緒になって見つけ出しながら、症状に応じてその都度治療を変えていくといった地道な治療を続けることがAD治療の王道と思われます


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