アレルギーに関する情報

(第3回)薬疹について

 皮膚科で扱うアレルギーのひとつに薬疹があります。薬の副作用として皮膚に症状がみられるものですが、病気自身による症状か、薬によるものか見きわめるのに苦労することが少なくありません。そこで、今回は薬疹の診断ならびに治療をおこなう際のポイントをいくつかあげてみます。
 最初のポイントは薬の投与開始後どのくらいしてから症状が現れたかという点です。初回投与と2回目以降の投与では薬疹が出現するまでの期間が異なることが多く、感作期間(アレルギーの準備期間)として初回投与では一般的に1~2週間前後かかるものが多く、2回目以降の投与の際には投与後数日以内に症状が現れることが多くなりますただし、これはあくまで目安で例外も多く、例えば湿しんタイプの薬疹では数か月、時によっては数年後に初めて薬疹が見られる場合もあります。
 次に、薬の種類によって薬疹のおこりやすさが異なるという点です。たとえば、何種類も薬を投与されている場合には抗生物質や解熱剤、血圧を下げる薬や不整脈を治す薬、神経科などで処方される薬などが比較的薬疹をおこしやすく、これらのものから原因薬として疑っていく必要があります。一方、ビタミン剤などでも非常に稀ながら薬疹をおこすことがあり、つまり、薬疹を全くおこすことのない薬剤というものはありません漢方薬は安全ということでご希望される方もいらっしゃいますが、これらも当然例外ではなく、一般薬と同じように薬疹をおこすことが知られています。
 三番目には、薬疹にもいろいろな皮膚症状がみられますが、薬の種類によって皮膚症状にいくつかの特徴がみられるという点です。解熱鎮痛剤や抗生物質などでよく見られる固定薬疹は一見してそれとわかりますが、虫刺されなどとして長期間治療をうけていることも少なくありません。その他にも、ニューキノロン系抗生物質による光線過敏症、降圧剤(βブロッカー、カルシウム拮抗剤など)による苔癬型・乾癬型薬疹など皮膚症状から原因薬を特定できる場合も少なくありません。
 四番目には、薬疹でも場合によっては重症化することがあり、命にかかわる場合もあるという点です。重症型薬疹としては、スティーブンス・ジョンソン症候群、ライエル症候群、薬剤性過敏症症候群などがあげられますが、これらは早期の薬剤中止、入院の上での治療 ・管理が必要となります
 「たかが薬疹、されど薬疹」症状の軽いうちに薬疹を疑い、原因薬剤をできるだけ早くみつけて中止することが最も重要になります。
 薬疹の診断を確定するためには、一度薬を中止して症状が改善した後、再び薬を投与して同じ皮膚症状がみられるのを確認すること(誘発試験)が必要となります。しかし、折角よくなったものをわざわざ悪くするのには患者さん自身にも抵抗がありますし、手間暇がかかりますので実際に誘発試験を行うことはあまりありません。重症の薬疹の被疑薬については、安全性の面から誘発試験は行いません。しかし、原疾患の治療のために中止したくない薬については、誘発試験で原因薬かどうかを確認する必要があります。もし原因薬だとわかれば、当然代わりの薬に変更しなければなりません。他に代わりの薬がなく、かつ、薬疹としての皮膚症状が軽症のものに限っては、薬の投与を続けながら薬疹の治療を行う場合もでてきます。このような場合には薬疹が治癒することは期待できず、薬の投与を続けるうちに薬疹が重症化することがありますので細心の注意が必要となります。一般的には、皮膚症状、経過より薬疹を疑い、治療ならびに被疑薬の中止により症状の改善されたものについては薬疹と考えて、その後は被疑薬の使用を中止します。原疾患に対して薬の投与がどうしても必要な場合には系統の異なる代わりの薬を選ぶ必要があります系統の同じものを投与した場合には薬が代わっても交叉反応をおこして薬疹の見られることがあります。
 以上をまとめると、先ず薬の投与期間、皮膚症状より被疑薬を絞り込みます。可能であれば、絞り込んだ薬をすべて中止して経過をみますが、すべてを中止することができない場合には絞り込んだ中から薬疹をおこしやすい薬から順番に中止していきます。見当をつけた薬剤を中止しても薬疹の症状がよくならない場合にはすべての薬を中止して経過をみる必要があります。
いずれにせよ、薬疹の診断と治療(特に、皮膚症状の特徴から薬疹の見きわめをする[正確には薬疹を疑う])には皮膚科専門医の知識が必要となりますので、薬の投与を受けられている時に何か皮膚の異常に気付きましたら、お早めにご相談ください


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