アレルギーに関する情報

(第5回)アレルギー診療の現況(特にアトピ―性皮膚炎)について

 アトピ―性皮膚炎(以下AD)の治療は皮膚科以外にも小児科、内科、アレルギー科などいろいろな診療科で治療が行われています。その中で診療のスタイルを大きく二つに分けると、ステロイドを積極的に使って皮膚症状をコントロールしていくことに主眼を置くタイプと、原因、悪化因子の検索、除去を中心に診療を行っていくタイプに分かれます。一般に、前者に多くの皮膚科医があてはまり、後者にごく一部の皮膚科医とそれ以外の科(主にアレルギー科)の多くの医師があてはまるものと思われます。
 前者の皮膚科的な治療方針をもう少し詳しく説明しますと、まず皮膚の症状に応じて適切な「強さ」のステロイドの外用療法を行い、皮疹が軽快するとともに外用剤の内容を(弱いものに)変えていき、日常生活に差支えがない程度にコントロールしていくというものです。強いステロイド外用剤を塗っても効果のない場合や、ステロイド外用剤の「強さ」や「使用量」の減量ができない場合には悪化因子を検索・除去していき、その上で適切なステロイド外用による治療を行い、症状の改善を目指します。ただし、ステロイド外用を「効果なし」と判断するには、その薬が十分な量、範囲、期間、きちんと塗られていたかどうかを確かめておく必要があります。
 他方、アレルギー科で多くみられる後者の治療方針については、できるだけステロイドを使わずに、あるいは弱いステロイドを使いながら悪化因子を検索・除去することで治していくというものです。ただ、こちらの方の治療方針の難点は不必要な検査を多くしがち(費用が多くかかる)で、しかも、よく検討しないと検査結果がイコールADの悪化因子とは言えないのですが、概して検査結果から安易に悪化因子を特定してしまいがちです。患者さんの立場から言えば、悪化因子が特定できれば安心して治療を受けられますので大変喜ばれますが、悪化因子を除いても症状が改善されないときの失望感のほうも計り知れませんので安易な悪化因子の特定(限定)はできる限り控えなければなりません。
 上記の二通りの治療方針に関してどちらが良いのかということですが、軽症および(軽めの)中等症くらいまでのADではいずれの治療方針でも良くなりますので、大きな違いはありませんすなわち、皮膚科的な治療を行うと症状が早く治り、治ってからはスキンケアのみか弱いステロイドを時々使用する程度で十分にコントロールできますし、一方、アレルギー科的な治療でも時間はかかりますがたいていの場合治ります。
 一番問題になるのは、中等症以上、特に重症のADの場合です。この場合、皮膚科的なアプローチによる治療でしか改善は望めません特に、適切なステロイドを使わない治療をだらだらと続けても悪くなる一方で、原因検索・除去だけではとうてい治すことはできません。ADの湿しんを火事にたとえますと、火の勢いが湿しんの状態を表し、消火活動にあたるのがステロイドの外用で、火の元をおこさないようにする防火活動が原因検索・除去にあたります。つまり、いったん火事がおこったときに一度は消火をしないと、防火活動だけを行っても全く意味がありません。特に、火の手が強いときには十分な消火活動(強いステロイドの外用)をしなければ鎮火することはできません。一方、完全に火が消えないうちに消火活動を止めますと、再び火の勢いは強くなってきます。もちろん、火事(AD)がおさまってからもだらだらと消火活動(ステロイド外用)を行う必要はありませんし、鎮火(治癒)した後に、火の元を再びおこさないよう(再発しないよう)に原因の検索・除去をしなければならないのは言うまでもありませんただし、検査でひっかかったからといって、アレルギーの方にばかり目が行き過ぎますと、あれもダメ、これもダメということで何もかもダメになってしまうことがありますので注意が必要です。特に、乳幼児期の食事アレルギーは2~3歳を迎えるころには多くの場合治りますので、本人のストレス、お母さんのご苦労を考えますと、余程のことがない限り食事制限をおこなう必要はありません。
 ADの症状は千差万別で、悪化因子も症例ごとに異なっており、画一的な治療法、特効薬はありません。従って、何科であれ、症状の変化にあわせてじっくり時間をかけて診察をうけることのできる医療機関で診察を受けられるのが一番よいものと考えます短い時間の診察時間で詳細を見きわめることはほとんど不可能ですし、薬の出しっぱなし、検査のやりっ放しでは到底良くなりません。ADはオーダーメードの治療が最も必要とされる疾患と考えられます。
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