なるほど!皮膚科豆知識

(第5回)治療のいらない皮膚病について

 外来を受診された患者さんに「何も治療は要りません。様子をみましょう。」と言いますとけげんそうな顔をされることがあります。患者さんにしてみれば、心配のあまり一念発起して皮膚科を受診したのに治療も検査も何もしてもらえないということでがっかりされているからだと思われます。ところで、実際に治療のいらない皮膚病にはどのようなものが考えられるのでしょうか?
 先ず放置してもよいものは、悪性ではないこと(良性であること)が大前提で、その上で、(1)薬(治療)で効くものがなく、自然に治るもの(あるいはひどくならないもの) (2)治療してもその結果が治療前よりも悪くなる(目立つようになる)可能性のあるもの (3)治療の際、副作用のみられるもの (4)患者さん自身が治療を望まないもの があげられます。(1)の代表的なものとしては、ウイルス感染症(単純ヘルペスなど抗ウイルス薬の有効な一部の疾患を除く)があげられます。一般に、全身に激しく皮疹がでても特効薬はなく、自然の免疫反応で1週間~数ヶ月かかって治ります。症状がピークを迎えるまでは日に日に皮疹は悪くなるものの、治癒を早める治療法はなく、対症療法しかありません。そのため、病初期には皮膚症状が一向によくならないために患者さんに不信感を抱かれることも少なくありません。(2)の代表としては、顔面の(小)皮膚腫瘍があげられます。外科的切除などの治療跡のほうが目立つ可能性があり、患者さんが日常生活に不自由を感じていない場合には放置することもあります。(3)については、子どもの水イボやいわゆる(ウイルス性の)イボの治療の際には強い痛みを伴いますので、本人や両親がその痛みに耐えかねて治療を行なわない場合があります。(4)で多いものとしては、ご年配の方のシミやいわゆる(お年寄り)イボがあげられます。悪性のものかどうかを心配して来院され、診察時に皮疹の病状と治療法について説明しますと、「悪いものでなくて安心しました。そのままにしておきます。」と言って帰られる方が多くみられます。ただし、水イボやイボは放置してもほとんどの場合やがては消失しますが、しばらくの間は増えたり、人にうつしたりしますので原則的には治療を行ないますし、ご年配の方のシミやイボもレーザー治療や外科手術をおこなったり、外用剤での治療を試みる場合もあります。従って、(1)を除いて、実際の診療では患者さんと相談しながらその都度治療をおこなうかどうかを決めていきます。


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