二宮皮フ科クリニック 皮膚科・アレルギー科   皮膚科・アレルギー科
ロゴ
二宮皮フ科クリニックのご案内
特徴
リンク
お役立ち情報ファイル
home
お役立ち情報ファイル
 
☆アレルギーに関する情報
アトピー性皮膚炎を中心に
 

(第1回)アトピ―性皮膚炎の治療におけるステロイドについて

 アトピ―性皮膚炎の患者さんを外来で診察しているときによく言われることのひとつに「ステロイドを使わずに治して欲しい」ということがあります。そこで、「どうしてステロイドを使いたくないのですか?」とたずねますと、たいていの場合「副作用がこわいから」とか「リバウンドがこわいから」といった答えが返ってきます。副作用については、実際に患者さんご自身が経験されたものは少なく人づてに聞いた話や雑誌などの情報がほとんどです。糖尿病や骨が弱くなるような全身にみられる副作用はステロイドの注射や内服にみられるもので、付け薬の場合には主に皮膚での副作用が問題になります。副作用としては皮膚が薄くなったり、感染症を起こしたりする場合がありますが、皮膚萎縮については皮膚科専門医の指示通りステロイドを適切に使えば普通は見られませんし、感染症についてはステロイドの中止と適切な治療で治ります。それともう一つよく言われるのが「ステロイドを使うと色が黒くなる」ということです。これはステロイドの使用により色がついたのではなく、ステロイドを使って炎症がおさまったために色素沈着が残るのです。ちょうど火事の焼け跡のようなもので、ステロイドを使って早く症状を止めることで使わないときに比べて色素沈着の程度は軽くなります。一方、ステロイド中止によるリバウンドについても、悪化因子が取り除かれていない場合を除いては、炎症(症状)が完全に治まってからステロイドを止めたときに症状が急激に悪くなることはほとんどありません。ステロイドが恐い薬ということで炎症が治まりきらないうちに突然中止すると一気に症状が悪化しますが、これはステロイドの不適切な使用により悪化したものであってリバウンドではありません。実際に、ステロイドの不適切な使用による悪化とリバウンドがしばしば混同されています。
 日本皮膚科学会によるアトピ―性皮膚炎の治療ガイドラインではステロイド外用による治療が標準治療とされていることからもわかるように正しく使用すれば必要以上に恐がることはありません

ページのトップへ

(第2回)アトピ―性皮膚炎患者のドクターショッピングについて

 アトピ―性皮膚炎(AD)は、以前は思春期頃にはほとんどが自然に治る疾患として扱われてきましたが、最近は子どもの重症例や成人になってもひきつづきADがみられることもめずらしくなくなりました。そのためにADの患者さんのなかには治療を受けていても良くならないということで病院を次々と替えていく、いわゆるドクターショッピングを続けている方が少なからず見られます。一般的な皮膚科専門医であれば、ADの治療方針、治療内容には大きな差はないものと考えます。日本皮膚科学会によるアトピ―性皮膚炎治療ガイドラインでも、「治療の目標は患者を下記の状態に到達させることにある。(1)症状はない、あるいはあっても軽微であり、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない。(2)軽微ないし軽度の症状は持続するも、急性に悪化することはまれで悪化しても遷延することはない。なお、ADは遺伝的素因も含んだ多病因性の疾患であり、疾患そのものを完治させうる薬物療法はない。よって対症療法を行うことが原則となる。」と謳(うた)っています。実際にたいていの皮膚科専門医はこれらの考えに基づいて治療を行っています。ドクターショッピングを続けられる方を大きく二つに分けますと、ステロイドを使わずに症状を治したいという場合と新しい治療を行いたいという場合に分けられます。前者については、症状が強い時にはステロイド剤を使わずに治すことはほとんど不可能ですし、後者についても、タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)の外用が小児においても適応となった現時点ではトピックスとしての新しい治療法はありません。
 ADでは、幼児期の卵などの食餌因子に対するアレルギー、ダニやホコリなど環境因子に対するアレルギー、敏感肌に基づく皮膚の乾燥症状、日常生活習慣における皮膚刺激、ストレスによるかゆみの増強、掻き癖による症状の悪化、薬自体による皮疹の悪化など様々な病因、悪化因子があげられます。軽症のADではステロイドの治療だけでたいていの場合、良くなりますが、重症の難治性のADでは上記の悪化因子を除かなければ症状の改善が期待できません。実際に入院施設で重症のADの治療を行う場合、最初のうちはステロイドを使いますがしばらくするとワセリンの外用だけでも症状が落ち着いてきます。ところが、これで治ったと考えて試験外泊をするとまた元に近い状態にすぐに戻ってしまいます。これは環境因子が大きく影響しているケースで、難治性のADで最も多く見られます。このような場合には環境因子の改善なしには症状の改善は望めません。つまり、難治性のADではこのような症状の悪化因子を見つけ出して、それを取り除くことが必要になります。
 ADでステロイドを使わずに治るケースというのは、軽症例でスキンケアのみで症状が安定しており、かつ悪化因子が完全に除去されている場合に限られます。このような場合には、症状が悪化して仮にステロイドを一時期使ってもそれ以降に悪化因子がなければ再びスキンケアのみでステロイドを使うことなく治療することができます。中等症以上の場合でも、一度ステロイドで症状をおさえれば悪化因子を除くことができればステロイドを使う必要はありません。しかし、現実的には軽症のADでは悪化因子を取り除くことは可能ですが、中等症以上の例では悪化因子が不明な場合があったり、実際に取り除くことが困難な場合が多かったりしますので症状をコントロールして悪化させないようにするためにはステロイドが必要になってきます。逆にこのような場合にもステロイドを使わなければ、症状が悪化してさらに皮膚が敏感な状態になって余計に皮膚炎を起こしやすくなりますので、この悪いサイクルを断ち切るためにもステロイドでの治療が必要になります。
 ドクターショッピングを続けると、新しい皮膚科医にかかったときにそれまでの経過やその時点での治療効果などがはっきりしませんので適切な治療を行って直ちに良い結果をもたらすことは非常に困難です。その結果、やはり良くならないということでさらにドクターショッピングを続けるという悪循環におちいるケースもよく見られます。一人の信頼のおける皮膚科専門医にかかられて、悪化因子を医師と患者さんが一緒になって見つけ出しながら、症状に応じてその都度治療を変えていくといった地道な治療を続けることがAD治療の王道と思われます

ページのトップへ

(第3回)薬疹について

 皮膚科で扱うアレルギーのひとつに薬疹があります。薬の副作用として皮膚に症状がみられるものですが、病気自身による症状か、薬によるものか見きわめるのに苦労することが少なくありません。そこで、今回は薬疹の診断ならびに治療をおこなう際のポイントをいくつかあげてみます。
 最初のポイントは薬の投与開始後どのくらいしてから症状が現れたかという点です。初回投与と2回目以降の投与では薬疹が出現するまでの期間が異なることが多く、感作期間(アレルギーの準備期間)として初回投与では一般的に1〜2週間前後かかるものが多く、2回目以降の投与の際には投与後数日以内に症状が現れることが多くなります。ただし、これはあくまで目安で例外も多く、例えば湿しんタイプの薬疹では数か月、時によっては数年後に初めて薬疹が見られる場合もあります。
 次に、薬の種類によって薬疹のおこりやすさが異なるという点です。たとえば、何種類も薬を投与されている場合には抗生物質や解熱剤、血圧を下げる薬や不整脈を治す薬、神経科などで処方される薬などが比較的薬疹をおこしやすく、これらのものから原因薬として疑っていく必要があります。一方、ビタミン剤などでも非常に稀ながら薬疹をおこすことがあり、つまり、薬疹を全くおこすことのない薬剤というものはありません。漢方薬は安全ということでご希望される方もいらっしゃいますが、これらも当然例外ではなく、一般薬と同じように薬疹をおこすことが知られています。
 三番目には、薬疹にもいろいろな皮膚症状がみられますが、薬の種類によって皮膚症状にいくつかの特徴がみられるという点です。解熱鎮痛剤や抗生物質などでよく見られる固定薬疹は一見してそれとわかりますが、虫刺されなどとして長期間治療をうけていることも少なくありません。その他にも、ニューキノロン系抗生物質による光線過敏症、降圧剤(βブロッカー、カルシウム拮抗剤など)による苔癬型・乾癬型薬疹など皮膚症状から原因薬を特定できる場合も少なくありません。
 四番目には、薬疹でも場合によっては重症化することがあり、命にかかわる場合もあるという点です。重症型薬疹としては、スティーブンス・ジョンソン症候群、ライエル症候群、薬剤性過敏症症候群などがあげられますが、これらは早期の薬剤中止、入院の上での治療 ・管理が必要となります
 「たかが薬疹、されど薬疹」症状の軽いうちに薬疹を疑い、原因薬剤をできるだけ早くみつけて中止することが最も重要になります。
 薬疹の診断を確定するためには、一度薬を中止して症状が改善した後、再び薬を投与して同じ皮膚症状がみられるのを確認すること(誘発試験)が必要となります。しかし、折角よくなったものをわざわざ悪くするのには患者さん自身にも抵抗がありますし、手間暇がかかりますので実際に誘発試験を行うことはあまりありません。重症の薬疹の被疑薬については、安全性の面から誘発試験は行いません。しかし、原疾患の治療のために中止したくない薬については、誘発試験で原因薬かどうかを確認する必要があります。もし原因薬だとわかれば、当然代わりの薬に変更しなければなりません。他に代わりの薬がなく、かつ、薬疹としての皮膚症状が軽症のものに限っては、薬の投与を続けながら薬疹の治療を行う場合もでてきます。このような場合には薬疹が治癒することは期待できず、薬の投与を続けるうちに薬疹が重症化することがありますので細心の注意が必要となります。一般的には、皮膚症状、経過より薬疹を疑い、治療ならびに被疑薬の中止により症状の改善されたものについては薬疹と考えて、その後は被疑薬の使用を中止します原疾患に対して薬の投与がどうしても必要な場合には系統の異なる代わりの薬を選ぶ必要があります。系統の同じものを投与した場合には薬が代わっても交叉反応をおこして薬疹の見られることがあります。
 以上をまとめると、先ず薬の投与期間、皮膚症状より被疑薬を絞り込みます。可能であれば、絞り込んだ薬をすべて中止して経過をみますが、すべてを中止することができない場合には絞り込んだ中から薬疹をおこしやすい薬から順番に中止していきます。見当をつけた薬剤を中止しても薬疹の症状がよくならない場合にはすべての薬を中止して経過をみる必要があります。
いずれにせよ、薬疹の診断と治療(特に、皮膚症状の特徴から薬疹の見きわめをする[正確には薬疹を疑う])には皮膚科専門医の知識が必要となりますので、薬の投与を受けられている時に何か皮膚の異常に気付きましたら、お早めにご相談ください

ページのトップへ

(第4回)じんま疹と食物について

 食物を食べた直後にみられるアレルギー性のじんま疹の他にアレルギーとは関係なくみられる食物によるじんま疹があります。仮性アレルギーと呼ばれるもので、不耐症(イントレランス)と呼ばれることもあります。代表的なものはアスピリン不耐症で、アスピリンなどの酸性非ステロイド抗炎症薬や食物中のサリチル酸化合物や色素や防腐剤によりじんま疹がみられます。正常人でも0.3%の人に見られますが、慢性じんま疹患者では23〜28%に認められるといわれています。自然食品の中で、サリチル酸含有量の多い食品としては、野菜類として、キュウリ、トマトなど、果実類として、リンゴ、ブドウ、モモ、イチゴなどがあげられます。人工着色料としてはタール系アゾ色素(タートラジン(食用黄色4号)など)や、防腐剤として安息香酸ナトリウムパラベン類などがアスピリン不耐症の誘発物質としてあげられます。
食物アレルギー以外のじんま疹としては、その他に、魚肉(サバなど)内に潜むアニサキスなどの寄生虫が原因となるじんま疹や胃粘膜に感染しているピロリ菌が原因となるじんま疹などがあげられます。

ページのトップへ

(第5回)アレルギー診療の現況(特にアトピ―性皮膚炎)について

 アトピ―性皮膚炎(以下AD)の治療は皮膚科以外にも小児科、内科、アレルギー科などいろいろな診療科で治療が行われています。その中で診療のスタイルを大きく二つに分けると、ステロイドを積極的に使って皮膚症状をコントロールしていくことに主眼を置くタイプと、原因、悪化因子の検索、除去を中心に診療を行っていくタイプに分かれます。一般に、前者に多くの皮膚科医があてはまり、後者にごく一部の皮膚科医とそれ以外の科(主にアレルギー科)の多くの医師があてはまるものと思われます。
 前者の皮膚科的な治療方針をもう少し詳しく説明しますと、まず皮膚の症状に応じて適切な「強さ」のステロイドの外用療法を行い、皮疹が軽快するとともに外用剤の内容を(弱いものに)変えていき、日常生活に差支えがない程度にコントロールしていくというものです。強いステロイド外用剤を塗っても効果のない場合や、ステロイド外用剤の「強さ」や「使用量」の減量ができない場合には悪化因子を検索・除去していき、その上で適切なステロイド外用による治療を行い、症状の改善を目指します。ただし、ステロイド外用を「効果なし」と判断するには、その薬が十分な量、範囲、期間、きちんと塗られていたかどうかを確かめておく必要があります。
 他方、アレルギー科で多くみられる後者の治療方針については、できるだけステロイドを使わずに、あるいは弱いステロイドを使いながら悪化因子を検索・除去することで治していくというものです。ただ、こちらの方の治療方針の難点は不必要な検査を多くしがち(費用が多くかかる)で、しかも、よく検討しないと検査結果がイコールADの悪化因子とは言えないのですが、概して検査結果から安易に悪化因子を特定してしまいがちです。患者さんの立場から言えば、悪化因子が特定できれば安心して治療を受けられますので大変喜ばれますが、悪化因子を除いても症状が改善されないときの失望感のほうも計り知れませんので安易な悪化因子の特定(限定)はできる限り控えなければなりません。
 上記の二通りの治療方針に関してどちらが良いのかということですが、軽症および(軽めの)中等症くらいまでのADではいずれの治療方針でも良くなりますので、大きな違いはありません。すなわち、皮膚科的な治療を行うと症状が早く治り、治ってからはスキンケアのみか弱いステロイドを時々使用する程度で十分にコントロールできますし、一方、アレルギー科的な治療でも時間はかかりますがたいていの場合治ります。
 一番問題になるのは、中等症以上、特に重症のADの場合です。この場合、皮膚科的なアプローチによる治療でしか改善は望めません。特に、適切なステロイドを使わない治療をだらだらと続けても悪くなる一方で、原因検索・除去だけではとうてい治すことはできません。ADの湿しんを火事にたとえますと、火の勢いが湿しんの状態を表し、消火活動にあたるのがステロイドの外用で、火の元をおこさないようにする防火活動が原因検索・除去にあたります。つまり、いったん火事がおこったときに一度は消火をしないと、防火活動だけを行っても全く意味がありません。特に、火の手が強いときには十分な消火活動(強いステロイドの外用)をしなければ鎮火することはできません。一方、完全に火が消えないうちに消火活動を止めますと、再び火の勢いは強くなってきます。もちろん、火事(AD)がおさまってからもだらだらと消火活動(ステロイド外用)を行う必要はありませんし、鎮火(治癒)した後に、火の元を再びおこさないよう(再発しないよう)に原因の検索・除去をしなければならないのは言うまでもありません。ただし、検査でひっかかったからといって、アレルギーの方にばかり目が行き過ぎますと、あれもダメ、これもダメということで何もかもダメになってしまうことがありますので注意が必要です。特に、乳幼児期の食事アレルギーは2〜3歳を迎えるころには多くの場合治りますので、本人のストレス、お母さんのご苦労を考えますと、余程のことがない限り食事制限をおこなう必要はありません。
 ADの症状は千差万別で、悪化因子も症例ごとに異なっており、画一的な治療法、特効薬はありません。従って、何科であれ、症状の変化にあわせてじっくり時間をかけて診察をうけることのできる医療機関で診察を受けられるのが一番よいものと考えます。短い時間の診察時間で詳細を見きわめることはほとんど不可能ですし、薬の出しっぱなし、検査のやりっ放しでは到底良くなりません。ADはオーダーメードの治療が最も必要とされる疾患と考えられます。

ページのトップへ

(第6回)接触皮膚炎(かぶれ)について

 外来で多く見られる疾患のひとつに湿しんがありますが、そのうち原因が外部からのもので皮膚に接触した部位に症状のみられるものが接触皮膚炎(かぶれ)です。ある皮膚科の施設からの報告では皮膚科外来受診総患者中の接触皮膚炎のしめる割合は6〜8%、別の施設からのものでは新患患者中の接触皮膚炎患者のしめる割合が約23%前後となっています。施設によって、また手湿しんのみの症例を含めるかどうかで新患患者数における接触皮膚炎の割合は異なるものの、数多くみられることには違いありません。かぶれは程度の差こそあれ、誰もが一度は経験しうるものですが、症状の非常に軽いものでは気づかれることなく治ってしまう場合もあります。
 かぶれは刺激性のものとアレルギー性のものに分かれます。皮膚に十分な濃度で、十分な時間接触すれば、直接細胞を障害して皮膚炎を生じる物質を刺激物質と呼びますが、刺激性接触皮膚炎の代表的なものとしては、強酸や強アルカリなどの強刺激物質によっておこる紅斑、水ほう(みずぶくれ)、壊死[えし]、潰瘍[かいよう]などの皮膚病変や界面活性剤、有機溶媒などの弱刺激物質によっておこる進行性指掌角皮症(主婦などに多く見られる手あれ)などがあげられます。一方、アレルギ―性接触皮膚炎は皮膚に接触した化学物質が免疫反応を介して皮膚炎をおこすもので、初回に皮膚に付着したときには5日後から2週間後に症状がみられますが、2回目以降の接触では12時間から24時間後に原因化学物質が接触した部位にかゆみをともなう紅斑、丘疹、浮腫、小水疱が出現しますアレルギ―性接触皮膚炎で多く見られる原因物質としてはコバルト、ニッケル、クロム等の金属があげられます
 かぶれの治療はステロイド剤の外用で症状をおさえることですが、原因物質との接触を断たない限り症状は完全には治まりません。特に、シャンプー、リンスやクレンジングなどの化粧品、洗剤などは刺激性皮膚炎をよく起こしますが、かぶれの原因物質であることに気が付かずに使い続けますとなかなか治りません。毛染めや装飾品のかぶれなどは本人が原因に気づいていても、おしゃれの方を優先させてしまい症状をひどくさせてしまっている場合もあります。また、先にあげた金属かぶれについては、汗をかく時期に症状が目立ち、その他の時期には無症状のこともしばしば見られます。金属成分は青色の染料や革成分あるいは食べ物にもわずかながら含まれていることがあり、原因として気づかれていないこともよくあります。そこで、湿しんが見られた場合に原因物質を探すための検査としてパッチテスト(背中あるいは上腕部に検体を48時間貼布後、48、72時間後[2日目、3日目]に判定)を行うわけですが、検査中は入浴や激しい運動を控えていただけなければなりませんので、たいていの場合は涼しい季節に行います。
 難治性の湿しんでお悩みの方はかぶれの可能性がありますので、原因検索のためのパッチテストを是非一度ご検討ください。原因物質を特定して除去することができれば完治することも夢ではありません。

ページのトップへ

(第7回)治りにくいアトピ―性皮膚炎について(その1:ストレスとの関係)

 アトピ―性皮膚炎(以下AD)は小児の皮膚病で思春期頃までには軽快すると言われていましたが、最近は成人になっても症状が続いたり、成人になってはじめて発症する場合も見られます。一般には、ステロイド外用療法で症状を落ち着かせることができますが、きちんと治療を行なってもよくならない場合、すなわち治りにくい場合には悪化因子の存在を考えなければなりません。悪化因子の除去がADの改善、寛解につながりますので悪化因子を見つけることがADの治療には欠かせません。ADの悪化因子といえば、幼児期の卵や牛乳のアレルギーが、学童期以降ではホコリやダニなどのアレルギーがすぐに思いうかびますので、「アレルギー検査をしてください」とか、「検査ではアレルギーはありませんでした」などと患者さんや患者さんの家族の方から外来でもよく言われることがあります。一般にはアレルギーの強い患者さんがアレルギー対策をしていない場合にはADの症状がひどくなることが多いのですが、逆にADの症状がひどい場合に必ずアレルギーが強いとは限りません。特に、掻破[そうは](引っかくこと)はADの主な悪化因子のひとつで、普通は湿しんがあって痒いから掻くのですが、時に痒みがないのに掻いてしまうことがありますこのような場合の掻破は主にストレスによるものとされています。例えば、両親の愛情を独り占めすることのできていた幼児に下の子ができて、今までのように両親に構ってもらえなくなったときに親の注意を引くためにかきむしって湿しんが急激に悪くなることがあります。成人でも、イライラしたり焦ったりすると掻く(情動誘発)、気がつくと掻いている(自動的)、帰宅後や就寝前などに必ずしばらく掻く(定期的)、掻きだすと止まらない(精神的依存)、いつも同じ様に両手でこするように掻く(様式的)等を特徴とする嗜癖的掻破行動[しへきてきそうはこうどう]によってADが悪化する場合がみられます。このような場合には、実際に掻いていることを認識させ、自覚させて、最後に止めさせることが必要です。
 小児のADでは、母親がアレルギーにばかり目がいきすぎたり、泥んこ汚れの子どもの皮膚が気になりすぎたりしますと、母親の食事制限をはじめとする強迫傾向や過度の清潔志向につながり、子どもの心身に影響をおよぼし、ADを難治化させる可能性がありますので悪化因子の除去や治療とともにその点にも留意しなければなりません。

ページのトップへ

(第8回)治りにくいアトピ―性皮膚炎について(その2:かぶれとの関係)

 アトピ―性皮膚炎(以下AD)は敏感肌を特徴としますので、刺激をうけやすく健康な肌の方と比べますと非常にかぶれ(接触皮膚炎)をおこしやすくなっています。日常生活で使用する石けん、シャンプーやリンス、洗剤、化粧品などで湿しんが悪くなる場合がありますので注意が必要です。これらには界面活性剤、防腐剤、香料、殺菌剤、金属成分などいろいろな成分が含まれていますので、知らず知らずに悪化因子となっていることがあります。東京医科歯科大学皮膚科外来で成人型AD患者を対象に検討を行なったところ、シャンプー、リンスの変更で皮膚症状の改善のみられたものが43%にものぼったとのことです。石けん、シャンプー、化粧品などに今まで注意を払われていなかったADの方は一度肌に優しいタイプのものを試してみてください。
 尚、石けんやシャンプーなどを使った後にかゆみを感じたり、赤くなったりしたことがある場合には一度パッチテストを行って使い続けてよいものかどうかを調べておかなければなりません
 また、治療薬(特にアンダームなどの非ステロイド系の外用剤)、消毒薬などでもかぶれることが少なからずありますので、これらについてもご注意ください。
 以上のように、ADにかぶれを伴うことは少なくありませんし、かぶれがある場合には、かぶれの原因を除かなければ症状の改善が望めません。一方、ADとしてずっと治療を受けてこられた方のなかにも、コバルトなどの金属アレルギーによる仮性アトピ―性皮膚炎(金属かぶれであって、本当のADではない)の場合がありますので、ADの場合、血液検査などのアレルギー検査とともにパッチテストを行ってかぶれの原因検索、原因除去を行う必要があります。しかし、あまり神経質になりすぎて、検査、検査であれもダメ、これもダメでは息が詰まりますので、治療を行っても良くならない(治療をやめるとすぐに悪くなる)、あるいは症状がひどい場合に限って検査を積極的に行い、原因をつきとめていくようにするのがよいかと思います

ページのトップへ

(第9回)治りにくいアトピ―性皮膚炎について(その3:感染症との関係)

 アトピ―性皮膚炎(以下AD)患者は皮膚のバリア障害により皮膚の表面から微生物がしばしば感染します。幼児期のとびひ(伝染性膿痂疹)、みずいぼ(伝染性軟属腫)、カポジ水痘様発疹症(単純ヘルペスの重症タイプ)などがその代表例です。その他には、ADの患者の皮膚病変部には黄色ブドウ球菌(以後黄ブ菌)が数多く存在する事が知られていますし、難治性の一部のAD患者では血中カンジダ、マラセチアIgE抗体が上昇しています。また、AD患者の30%に病巣感染(扁桃炎、歯根尖膿瘍など)がみられるとの報告があります。
 一時はやったイソジン超酸性水による治療法はADの悪化因子として黄ブ菌の皮膚感染を考えたものですが、ステロイド剤の外用だけで湿しん病変が軽快するとそれに伴い黄ブ菌が消失しますので、イソジンや超酸性水の皮膚に対する刺激性を考えますと、皮膚の敏感なAD患者ではこれらの治療は一般には控えるべきです。
 病巣感染の治療を行なって、あるいは血中カンジダ、マラセチアのIgE抗体陽性例において腸管内のカンジダや皮膚の表面に常在するマラセチアに対して内服薬による抗真菌療法を行なってADの症状の改善を見る例がありますので、病巣感染合併あるいは、血中カンジダ、またはマラセチア抗体陽性のADにおいて通常の治療で良くならない場合に限っては抗菌療法は一度試してみても良い治療です
 但し、感染症を心配しすぎて過度に予防や治療を行なうことは皮膚のダメージや耐性菌の出現などにつながることもありますので注意が必要です。

ページのトップへ

(第10回)アトピー性皮膚炎の特殊療法について(本当に効いているの?)

 アトピ―性皮膚炎(以下AD)の治療は、敏感肌(乾燥肌)に対するスキンケアと炎症(湿しん)をおさえるステロイドの外用療法を二本柱に、悪化因子の検索、除去を並行して行なっていきます。ところが、ステロイドに対する過度の恐怖から十分(適切)にステロイドを使わないために症状を抑えることができず、どんどん悪くなっていくケースをよく見かけます。そのようなケースでよく見られるのは、悪化因子の検索はほったらかしておきながら、ステロイドは使いたくないという思い込みからステロイドに代わるいろいろな治療を行なっているケースです。高血圧や糖尿病の治療を考えてみていただくとよくわかると思いますが、食事療法や運動療法を全く行なわないで、しかも血圧や血糖値を下げる薬を使わないで果たして病気をよくすることができるでしょうか?食事療法や運動療法にあたるのが悪化因子の除去で、血圧や血糖値をさげる薬にあたるのがステロイドです。このように当てはめてみますと悪化因子を取り除くこともなく、ステロイドも使わずに症状をおさえることができるかどうかは一目瞭然です。ところが、ステロイドの外用薬によって直ちに長期の全身投与でみられるような副作用があらわれるというような誤解をいまだに一部の方々は持っておられます。このような方々においてはステロイドを適切に使用していないために症状がよくならないばかりか、ステロイドに代わる特殊な治療のみに頼っているケースでは余計に悪くなっています。
 ところで特殊な治療のうち、病院でも行なわれる治療としてはイソジン療法、超酸性水、漢方療法、紫外線療法などがあげられ、そのほかにもインターネット、アトピー関連雑誌などではADの治療に関する情報が満ちあふれています。ここでは、個々の情報をもれなく検証するのではなく、特殊療法についての一般的な皮膚科の考え方を述べさせていただきます。
 「よく効く!!」とか、「これで治った!!」とかいう文句をよく目にしますが、ADという病気は決してすぐに治る病気ではありません。ADを起こす体質というものは一生続きますので、仮に一度治ったようでもスキンケアを怠り、アレルギーがある場合にはその予防をないがしろにして生活を続けると直ぐに再発します。逆に、一度治った後スキンケアやアレルギー対策に注意を払い続けると全く症状がでないこともあります。つまり、特殊な治療を行なって治ったということは、その治療が実際に効いている可能性もありますが、環境因子などの悪化因子が自然に取り除かれ、治った場合も考えられますし、もともとADでなかった場合も考えられますので本当にその特殊な治療で治ったかどうかを見きわめるのにはその都度検討が必要です。しかも、プラセボ(偽薬)効果といって、薬と偽って偽の薬(食塩水)で治療した場合においてさえADにおいては約20%で効果がみられることから、特殊な治療の効果判定は慎重に行なわれなければなりません。しかも、先のような誇大広告では先ず全例、効かなかった例や、悪化した例については全く触れられていません。さらにつけ加えると、ステロイドが如何に恐い薬かを喧伝したあとに高価な商品の案内をしているものはアトピービジネスを目的としたものが多く、特に注意が必要です
 特殊療法が全て間違ったものとはいえませんが、EBM(evidence based medicine:根拠に基づく医療)という言葉が最近よく使われるように、科学的な裏づけのないものは医学の世界では一般には受け入れられません。ADの特殊療法では科学的な検証において有効性を確認されたものはほとんどありません。しかし、中には本当は効果があるにもかかわらず、その科学的な証明が遅れているものもあるでしょう。特に今後、プロバイオティクスなどの腸管免疫に関連する治療については将来的に有効なものが現れるようになるかもしれません。
 特殊療法への依存は大抵の場合ステロイド忌避から起こっていますが、現時点ではステロイドに完全にとって代わるADの治療薬はなく、先にも述べましたように正しくステロイドを使って、悪化因子を除去しながら、スキンケアを心がけるというきわめて単純な治療方針で症状をコントロールしていくことがADの治療の基本となります。特殊療法を行なった場合も、一般の治療と同様に遅くても数週間以内に効果は必ず現われますので、数週間使ってもだめなものは止めましょう。ましてや、治療を行なってもひどくなるときには直ちに止めましょう。特に、「ステロイドの毒抜き」と称してジュクジュクになって、症状がひどいのにもかかわらず、脱ステロイドと特殊療法を行なうことは一番避けなければなりません。ジュクジュクが自然に治ることはまずありませんし、この状態でステロイドを使わずにいますとどんどん悪くなる一方で、大変なことになってしまいますのでご注意ください。

ページのトップへ

(番外)アトピー:現状チェック(あなたの治療は今のままで大丈夫ですか?)

 アトピ―性皮膚炎(以下AD)ではなかなか良くならないと現在の治療をこのまま続けたので良いのだろうかと心配になることもあるかと思われます。そこで、今回は○×クイズを使ってあなたの現在のADの治療に問題がないかどうかチェックしてみましょう。

(1)ADの診断を医師から受けたことがある。
(2)自分が行っている治療、薬の内容を全て理解している。
(3)つけ薬を塗ると症状は(ほとんど)治る。
(4)症状にあわせてつけ薬を変えている。
(5)保湿剤のスキンケアを普段から行っている。
(6)症状が悪くなる原因を自分でわかっている。
(7)アレルギーの検査をしたことがある。
(8)検査[(7)]の内容、結果[意味]を理解している。
(9)一つの病院にずっとかかっている。
(10)医師[(9)]に気軽に質問・相談をすることができる。
 上記の項目にすべて○をつけられた方は ADの治療に関しては全く問題ありません。全項目に○をつけられた方は今後はステロイドの使いすぎ(強さ、量)にだけ注意をしてください。(6)で○をつけられた方は状況によっては(7)(8)は必要ありません。(6)で×をつけられた方は一度はアレルギー検査(7)を行っていただく必要があります。病院にかかられている方の中には(6)×(7)○(8)×のケースが案外多いのではないでしょうか。このような場合にはアレルギー以外のいろいろな悪化因子(ストレス、かきむしりのくせ等)が考えられますので主治医と一緒に原因をつきとめていくことが大事です。

(11)自分の考えに合わないとすぐに病院を替える。
(12)病院以外の治療(民間療法)を行ったことがある。
(13)セカンドオピニオンで複数の病院にかかったことがある。
 ここで○を多くつけられた方は納得のいくまで医師に質問をして、信頼できる皮膚科を早く見つけることが必要です。(11)(12)については、特にADではステロイド外用剤での治療を拒否される方や極端に恐れている方に多く見られます。かつてニュースステーションでステロイドが恐い薬として大々的に取り扱われたのがきっかけでこのような方が急激に増えましたが、最近は日本皮膚科学会を中心にステロイド外用剤を中心とした治療がマスコミを通して標準的治療法として広く啓蒙されていますので一時ほどは見られなくなりました。しかし、現在でも健康関連雑誌や商品広告などで高価なアトピー関連商品を販売する目的(⇒脱ステロイド)でステロイドの副作用を誇張して記事にしてあるのを目にします。「何となくステロイドは心配だ」と思われている方はステロイドに関しての正しい情報ならびに患者さん自身が不安に感じている点を直接主治医にたずねてみてください。その時の対応を見て、きちんと納得のいく説明をしてもらえる医師のもとで治療を続けられるのがよいでしょう。また、ADでは必ずアレルギー検査をしてアレルギー対策をしなければ治らないと考え、初診時にいきなりアレルギー検査をしてくださいと言われる方がいますが、実際にアレルギー検査が必要になるのは症状のひどいとき、強い薬でしか症状をコントロールできないとき、因果関係の疑われるアレルゲン(掃除した後に症状が悪くなる場合のホコリ、ダニなど)が存在するときです。症状の軽い方はアレルギー検査をすぐに行う必要はありませんが、これまでに検査をしたことがなくてアレルギーが気になる場合には一度は調べてみてもよいでしょう。ただし、アレルギー検査が必ずしも有効でない例が少なからずありますのでご留意ください。例えば、乳児期に行った検査で卵アレルギーが陽性でありながら、検査をした日以降に実際に卵を食べても全く症状が悪くならないケースを日常よく見かけます。このような場合は卵アレルギーとは考えられないにもかかわらず、検査で陽性だったから卵アレルギーがあるものと母親が強く思い込んで延々と卵除去の食事制限を続けていることが多く、無意味なストレスが母子ともにかかり続けています。アレルギー検査の結果だけに目を奪われて、ADの本当の悪化因子を見過ごしてしまうような事態だけは是非とも避けたいものです
 (13)のセカンドオピニオンはADの経過が長い場合、時には必要かもしれません。ただしセカンドオピニオンで新たに病院にかかる場合には、それまでの治療経過を詳細に意見を求める医師に伝えて、最初からセカンドオピニオンを聞くために来院したことをお伝えください。過去の治療や経過などを伏せて別の医師の診察を受けられますと誤診につながったり、前医での治療を最初からやり直すだけに終わったりしますので患者さんにとっても、医師にとっても時間と労力の無駄になり有益なことは何一つありません。

(14)症状が良くなっていない。
(15)かゆくて眠れないことがしばしばある。
 (14)(15)いずれも○の場合、主治医の指示通りに(つけ薬、飲み薬いずれも)きちんと治療をしていても良くならず、しかも検査をしてもらえない場合には速やかに他の皮膚科を受診しましょう。きちんと指示通り(ステロイドの(強さの)使い分け、1回に塗る量、範囲、1日に塗る回数、塗り続ける期間など)にステロイドを塗っていない場合や、主治医からアレルギー検査の提案があっても患者さん自身の意向で検査を行っていない場合には先ず主治医の指示通りに治療や検査を行なってみてください。塗らない薬は効きませんし、湿しんが悪くなるきっかけをなくさなければ症状は良くなりません。

(16)診察や説明を十分にしてもらえない。
(17)説明に納得できない。
 (16)で○の場合には、医師自身の診療スタイルからくる場合と患者さんの数が多すぎて物理的に一人一人の患者さんの診療時間に制限があってそうならざるをえない場合とがあります。実際に、他の医院でアレルギー検査をいろいろしてもらいながら結果説明や生活指導、今後の方針などを詳しく説明してもらえなかったり、(医師ではなく)看護師にしか症状を診てもらえなかったりしたために当クリニックに説明を求めて来院される患者さんもいらっしゃいます。(17)で○の場合には、患者さん自身の思い込みを一度なくしてから主治医の説明を最後まで聞いてみてください。たとえば、「ずっと同じシャンプーを使っているのでADの悪化因子になっているとは考えられない」と外来でもよく言われますが、実際に長く使っていたシャンプーを替えてADの症状がよくなることはめずらしくありません。いずれにせよ、きちんと治療をしていてもよくならずに患者さんの不満・不安が現状の診察で解消されなければ前述のセカンドオピニオンを他の皮膚科医に求められたほうが良いでしょう

ページのトップへ

   
 
イメージ
著作権:二宮皮フ科
 
二宮皮フ科クリニック/ 皮膚科・アレルギー科
〒790-0053 愛媛県松山市竹原2丁目15-33  TEL / 089-915-1655