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☆なるほど!皮膚科なんでも豆知識
 

(第1回)皮膚腫瘍の良性、悪性について

 形のきれいな、大きさの変化の少ないものは良性のものが多く、色がまだらであったり、辺縁がでこぼこしていたり、短い期間(数か月)単位で急速に大きくなったりするものは悪性の可能性があります。その他、キズがなかなか治らないものや触ったときに境目がわかりにくいものは注意が必要です。あくまでこれは腫瘍(皮膚のもりあがりのある固まり)の場合で、湿しんなどにはあてはまりません。

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(第2回)ジェネリック医薬品(後発品)について

 平成15年4月よりサラリーマンの医療費負担が2割から3割に負担増となったことから「医療費をできるだけかからなくするためにジェネリック医薬品を処方してもらいましょう」という働きかけがマスコミを中心にしばしば見られるようになりました。そこで、ジェネリック医薬品についてご存知ない方もいらっしゃると思いますので最初にご説明しておきますと、ジェネリック医薬品とは新薬(日本で最初に発売されたお薬)の特許が切れた後に厚生労働省の承認を得て発売される薬で、新薬が先発品と呼ばれるのに対して後発品と呼ばれています。新薬は特許を出願してから20〜25年間は開発メーカーが独占的に製造販売することができますが、その特許が切れれば、ジェネリック医薬品メーカーが同じ成分、同じ効き目の医薬品を後発品としてより安価で製造販売することができるようになります。実際に、新薬が発売されてから一定期間がすぎると、多くの後発品が市場に出回るようになり、他院で処方された薬で商品名を一度も聞いたことのないものを調べてみるとたいていの場合はジェネリック医薬品です。
 後発品の一番の特徴は値段が安いということです。新薬は開発に投資した費用が薬剤の価格に反映されていますが、後発品はその分の費用がかからないために安い価格にできるわけです。ここで注意しなければならないのは、後発品は十分な治験(薬の投与例での効果や副作用についてのデータ分析)が行われていないため、安全性などのきちんとしたデータがないことです。成分が同じということですが、主成分は同じではあるものの添加剤などを含めてすべてが全く同じわけではありません。すなわち、主成分が同じでも、その他の成分が異なると薬自体の吸収のされ方が異なり、そのために効果が弱くなる可能性があります。その他、アレルギーなどの副作用についても添加剤などが原因となる場合も少なくありませんので、先発品では問題なかったものが後発品では副作用が出るという事もありえる訳です。分かりやすく言えば、有名メーカーの同一商品でもいろいろな国(工場)で製造されており、製造国(工場)によって製品の優劣に多少の差がでてくるのと同様です。つまり、効果は少し劣る、あるいは安全性に少し問題はあるかもしれないが、安い方が良いという方に限ってはジェネリック医薬品を使われても問題ありません。よく誤解されているのは、値段が高い分先発品を使うと医者に利益があがり、後発品を使うと利益が下がるので後発品を使わないのではないかということですが、このようなことはありません。薬の値段も一般の商品と同じで、卸値と売値があり(しかも、卸値は卸・製薬メーカーに、売値は役所によって決められており医師の裁量は及びません)最近は毎年のようにその差がなくなり、一昔前までのように薬だけで利益があがるということはほとんどありません。
 当クリニックでは、現在はジェネリック医薬品としては抗アレルギー剤(じんま疹やかゆみ止めの薬)などごく一部のものだけを扱い、ほとんどの薬剤につきましては有効性、安全性の点から先発品を優先的に扱っております。今後ジェネリック医薬品の使用をご希望なさる患者さんが目立つようになればその扱いにつきまして再度検討させていただきます。

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(第3回)内臓と皮膚

 「皮膚は内臓の鏡」といわれるように、皮膚症状以外に内科的な症状がみられ、しかも内科の症状と皮膚症状が相関してみられ、かつ皮膚症状が広範囲(進行性)あるいは左右対称にみられるときには内科疾患からくる皮膚病変を考えなければなりません。
 ところで、外来で「皮膚病の治療をしても良くならないので、内臓が悪いのではありませんか?」とよく聞かれます。そのほとんどは、(1)つけ薬の塗る量、塗る範囲、塗る期間が足りない (2)治療をすれば良くなるが、止めれば悪くなる といったケースです。(1)はいわゆる不適切治療であり、(2)は外部からの原因によりおこる皮膚病変が、原因が取り除かれていないために再発を繰り返しているものです。従って、内臓の病気を疑う前には先ず上記の2項目に当てはまらないかどうかをチェックしておく必要があります。実際に、(1)あるいは(2)があてはまり、外来の診察中に一見して湿しんとわかるものでも、患者さんにとっては「良くならないのは内臓が悪いからではないか」という思い込みのためになかなかご理解を得られないこともあります。
 きちんと治療がなされていながら皮膚症状が本当に良くならない時ならびに特徴的な皮膚症状からおおよそ内科疾患が疑われる場合には必要に応じて検査を行い、内科の病気がないかを調べなければなりません。
 手のひらが赤くなったり、血管腫が顔や躯幹や腕にできたりしますと、肝臓の病気を疑い肝機能の検査を行いますし、じんま疹が続きますと、アレルギーの検査や胃潰瘍、特にピロリ菌の感染がないかどうかを調べます。じんま疹に似た紅斑が消えることなく続く場合には、ウイルス性肝炎、膠原病などを調べていきます。環状紅斑や顔面の紅斑、ならびに冬場に冷水が指に触れた時のレイノー症状(紫色から白色に変わっていく)などが見られれば膠原病を疑います。かゆみが異常に強い時には糖尿病、リンパ腫や肝臓、腎臓、胆のうなどのいろいろな病気を考える必要があります。
「内科で調べてもらったから内臓の心配はないから皮膚の方をみてください」と言われることがありますが、いろいろ検査を行う際にも皮膚の症状に応じて調べる内容が変わってきますので内臓を調べる場合にもあらかじめ皮膚科専門医にご相談の上、適切な検査を受けるようにして下さい。たとえば、膠原病を考えなければならない皮膚症状のときに、肝機能の検査を行って異常がなくても意味がありませんし、胃や肝臓を調べなければならないときにアレルギーの検査をしても同じことが言えます。皮膚病変から内臓の病気を疑う場合には、先ず皮膚科専門医が行える検査を行った上で、その結果をふまえて必要な専門の科の先生を紹介してもらうのが最も適切かと思われます

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(第4回)イボとタコ、ウオノメの違いについて

 足の裏にできる固いもので、外来で最もよくみるのは「ウオノメ」「タコ」ならびに「イボ」です。「ウオノメ」は透明の芯が真ん中にあり押さえると痛みがあります。「タコ」は芯がなく、押さえてもあまり痛みがありません。いずれも、表面をカミソリで削ってもざらざらしたり、出血したりすることはありません。また、できる場所はだいたい決まっています。一方、子どもの足の裏の「イボ」がよく前二者と間違われますが、表面がざらざらしており、薄く削ると点状に出血するのが特徴です。「イボ」はウイルス感染ですので、感染が拡大すると数が増えますし、離れた場所にもできることがあります。子どもは体重が軽いので、余程の激しいスポーツをしない限り「ウオノメ」「タコ」ができることはありません。従って、子どもの足の裏の固いものを見た場合には先ず「イボ」を疑ってください

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(第5回)治療のいらない皮膚病について

 外来を受診された患者さんに「何も治療は要りません。様子をみましょう。」と言いますとけげんそうな顔をされることがあります。患者さんにしてみれば、心配のあまり一念発起して皮膚科を受診したのに治療も検査も何もしてもらえないということでがっかりされているからだと思われます。ところで、実際に治療のいらない皮膚病にはどのようなものが考えられるのでしょうか?
 先ず放置してもよいものは、悪性ではないこと(良性であること)が大前提で、その上で、(1)薬(治療)で効くものがなく、自然に治るもの(あるいはひどくならないもの) (2)治療してもその結果が治療前よりも悪くなる(目立つようになる)可能性のあるもの (3)治療の際、副作用のみられるもの (4)患者さん自身が治療を望まないもの があげられます。(1)の代表的なものとしては、ウイルス感染症(単純ヘルペスなど抗ウイルス薬の有効な一部の疾患を除く)があげられます。一般に、全身に激しく皮疹がでても特効薬はなく、自然の免疫反応で1週間〜数ヶ月かかって治ります。症状がピークを迎えるまでは日に日に皮疹は悪くなるものの、治癒を早める治療法はなく、対症療法しかありません。そのため、病初期には皮膚症状が一向によくならないために患者さんに不信感を抱かれることも少なくありません。(2)の代表としては、顔面の(小)皮膚腫瘍があげられます。外科的切除などの治療跡のほうが目立つ可能性があり、患者さんが日常生活に不自由を感じていない場合には放置することもあります。(3)については、子どもの水イボやいわゆる(ウイルス性の)イボの治療の際には強い痛みを伴いますので、本人や両親がその痛みに耐えかねて治療を行なわない場合があります。(4)で多いものとしては、ご年配の方のシミやいわゆる(お年寄り)イボがあげられます。悪性のものかどうかを心配して来院され、診察時に皮疹の病状と治療法について説明しますと、「悪いものでなくて安心しました。そのままにしておきます。」と言って帰られる方が多くみられます。ただし、水イボやイボは放置してもほとんどの場合やがては消失しますが、しばらくの間は増えたり、人にうつしたりしますので原則的には治療を行ないますし、ご年配の方のシミやイボもレーザー治療や外科手術をおこなったり、外用剤での治療を試みる場合もあります。従って、(1)を除いて、実際の診療では患者さんと相談しながらその都度治療をおこなうかどうかを決めていきます

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(第6回)つけ薬の真実−治らないのは誰が悪いの?(医者? あなた? 病気? 薬?) みんなで協力して治しましょう!!!

 皮膚科で最もよく使われる薬はつけ薬ですが、そのつけ薬が効かないときあなたはどうしますか?その薬が効かないのは誰のせいでしょうか?一緒に考えてみましょう。

(1)医者が悪い時 : 診断が間違っており、誤った治療をしている場合 
 水虫のときに湿しんの治療を行なっていたり、湿しんのときに水虫の治療を行なっていたりする場合がこれに当たります。いくら薬をつけても良くなりませんし、かえって悪くなります。皮膚科専門医であれば、たいていの場合途中で診断の間違いに気が付いて、つけ薬をかえます。前医での治療を内緒にして新しい皮膚科を受診されますと、正しい診断ができずに誤った治療を繰り返すことになりますので、良くならないときにも必ず一度は元の皮膚科を受診してください(または、元の皮膚科での治療とその効果を新しい皮膚科医に伝えてください)。
(2)あなた(患者さん)が悪い時 : きちんと薬をつけていない場合 
 「塗らない薬は効かない」という言葉があるように、いくら良い薬があっても正しく塗っていなければ治りません。1日に塗る回数、一回に塗る量(範囲)、塗る期間どれかが一つでも欠けると期待される効果がみられません。水虫を例に挙げますと、かゆいところにかゆい時にだけ薬を塗っていても一向に治りません。つけ薬を広い範囲にかゆみがなくなってもしばらくの間(最低1〜2か月)塗り続けませんときれいに治りません。湿しんでも少しかゆみが治まって、つけ薬をやめますと直ぐにかゆくなって引っかいてしまい元に戻ってしまいます。この場合でもかゆみとは関係なく、皮膚の状態が良くなるまでは塗り続けなければなりません。湿しんでもひどいかぶれの場合には最低2週間くらい塗り続けなければ良くならない場合もあります。また、アトピ―性皮膚炎で重症の場合(体全体に湿しんがみられる場合)には、一回に薬を5〜10グラム、1日2回、最低1週間(場合によっては2週間)塗り続けなければ良くなりません。3日くらいで薬を止めたり、一回に塗る量が足りなければ当然良くなりません。   
(3)病気が悪い時 : 薬が効かない病気、病気の原因が除かれていない場合
 皮膚病については多くの方が必ず治るものと考えているため、直ぐに治らない場合には悪性のものか、内臓が悪い場合かのいずれかではないかと心配されることがよくあります。悪性のものは手術をすればなくなりますし、内臓の病気と関係している場合には内臓の病気が良くなれば皮膚の症状も改善します。ところが、皮膚病には悪性でもなく、内臓とも関係なく、つけ薬の効かない(効きにくい)慢性に経過する皮膚病が少なからずみられます。このような場合には、正しく診断をして皮膚病と長くお付き合いしていくしかありません。薬は症状を和らげる手助けにはなりますが、完全に治すことはできません。これにあてはまる代表的な病気に慢性色素性紫斑、乾癬などが挙げられます。
次に、考えられるのは病気の原因が残っているために、つけ薬をつけても治らない場合です。一番良くみられるものは、主婦の手あれです。つけ薬をいくら塗っても、手袋をはめずに素手で水や洗剤に触れると悪化の一途をたどります。シャンプーやリンスによるかぶれ、女性の化粧品かぶれ、職業性のかぶれなど、その他にもダニアレルギーのあるアトピ―性皮膚炎患者がダニ対策をしていない場合などもこれにあてはまります。また、水虫の患者が足を良く洗わない場合、靴下や靴を長時間はき続ける場合、足ふきマットを長期間洗濯しないで使い続ける場合などもこれにあてはまります。これらは病気の原因や悪化因子を取り除く努力を患者さん自身がしておられませんので、その意味ではA患者さんが悪い時に当てはめて考えた方がよいかもしれません。
(4)薬が悪い時 : 薬の副作用がみられる場合、薬の効果が弱い場合 
 つけ薬の代表的な副作用はかぶれです。特に、非ステロイド外用剤や抗菌剤での接触皮膚炎、光接触皮膚炎は外来でしばしば見られます。また、つけ薬に含まれる防腐剤などの添加剤でもかぶれることがあります。具体的には、ブフェキサマク(アンダーム)、クロタミトン(オイラックス)、硫酸フラジオマイシンによるかぶれ、ケトプロフェンによる光接触皮膚炎などが挙げられます。特に、クロタミトン、硫酸フラジオマイシンなどは市販のつけ薬の成分としてさりげなく含まれていることがありますので注意が必要です。
 ステロイドのつけ薬の副作用としては、毛のう炎などの感染症、皮膚の萎縮、多毛、酒さ様皮膚炎(顔面の赤ら顔)などが挙げられます。これらの副作用が見られたときには当然つけ薬を中止して、その副作用に対する処置をしなければなりません
 診断、薬の効能が正しいにもかかわらず、薬が効かないときには薬の効果が症状に対して弱い場合が考えられます。ランクの弱いステロイドばかりを使いますと、ひどい湿しんをおさえることはできませんし、水虫の薬にも種類はたくさんありますが、相性があって良く効く薬、あまり効かない薬があります。薬の効きが悪い時には、速やかに変更して良く効くものに替えなければなりません
 
 つけ薬で良くならない時には以上に示しました四つのいずれかの場合が考えられますが、皮膚科医の重要な仕事の一つはこの見極めにあります。
 (1)についてはあってはならないことですが、二つか三つの皮膚病に少しずつあてはまるところがあり、どれにするにも決め手にかけている場合、あるいは、めずらしい(その医者が知らない)病気に出会った場合などでは直ぐに正しい診断をすることはなかなかできません。経過をみたり、検査をしたりして正しい診断ができて初めて治療をすることができます。水虫などの見た目で診断のつきやすいものでも、かぶれや異汗性湿しんと区別がつかないことも少なくありませんので、このような場合には治療をしていくなかで誤診に気が付いて診断と治療を変えていくこともあります。
 ほとんどの皮膚病は症状、経過、検査などから正確な診断をすることはできますが、いろいろな治療(特につけ薬による治療)を行なっても良くならない場合もめずらしくありません。特に、(2)薬がきちんと使用されていない場合、(3)原因が取り除かれていない場合には患者さんの協力がなければ治すことはできません。しかし、現実には忙しくてきちんと薬が塗れないとか、病院に薬をもらいに来れなかったとかいう場合もしばしばありますし、原因をとり除こうにも美容師のシャンプーやパーマ液などによるかぶれは仕事をやめない限り良くなりませんので、このような場合にはなかなか思い通りに治すことはできません。
 慢性の皮膚病では、上記の四つのいずれにあてはまるかを医者と患者さんの双方で一緒に考えて、お互いに協力と理解をしながら治療に取り組むことが不可欠です。薬をきちんとつければ、あるいは原因をつきとめれば治る病気であれば治しきることを目標にします。病気の性質上治りにくい皮膚病や、原因をなくすことのできない皮膚病では、少しでも症状を軽くすることを目標にします。良くならないという理由だけで医者を替えるドクターショッピングは是非止めてください。廻り道になることが多く、下手をすれば症状を悪くさせるだけです。どうしても納得のいく説明が得られない場合には元の医者を通してセカンドオピニオンの相談をされてはいかがでしょうか。

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(第7回)皮膚科の薬はどうして効くの?容器に入った薬は秘伝の薬なの?

 皮膚科の外来で、薬局の薬は効かないとか、内科でもらう薬よりも皮膚科でもらう薬の方がよく効くとかいう話をよく耳にします。果たして皮膚科では特別な薬や秘伝の薬がでているのでしょうか?
 先ず、薬が効かない一番の理由としては診断を間違えて治療(皮膚科では多くはつけ薬)が間違っていることが考えられます。例えば足の裏がかゆいと、あるいは足の裏に水ぶくれがあると多くの方はすぐに水虫ではないかと心配されます。水虫以外にも足の裏がかゆくなったり、水ぶくれができたりすることがありますので、水虫であることをはっきりさせるためには一度顕微鏡検査で白癬菌がいることを確かめなければなりません。ところが、薬局で手軽に水虫の薬が手に入りますので、顕微鏡検査を一度もすることなく治療を続けても一向に良くならないという場合には水虫以外の皮膚病(汗疱[かんぽう]、接触皮膚炎、掌蹠膿疱症[しょうせきのうほうしょう]など)が疑われます。このような場合には皮膚科で新しい薬が処方されますが、皮膚科で特別な薬をもらったというよりも、適切な診断によって間違った薬から正しい薬に替えてもらったということになります。
 また、薬局や内科で同じ薬をもらっているはずなのに皮膚科でもらった薬しか効かないと言われる場合があります。同じ名前の薬でも薬によっては薬局の薬と病院で処方される薬とでは有効成分の濃度が異なっていたり、薬局の薬のほうには余計な成分が入っていたりして効果に差が出る場合があります。実際に全く同じ薬(商品)をつけているにもかかわらず皮膚科でもらった薬のほうがよく効いたという場合には、治るのに時間がかかる皮膚病でたまたま皮膚科で治療しているときに治った、あるいは、皮膚科で塗り方をきちんと指導を受けて適切に塗るようになって治った のいずれかの場合が考えられます。
 皮膚科の薬が特別な薬といわれる一番の理由としてはプラスティック容器に入れられた患者さんにとっては神秘的な(?)つけ薬の存在があげられます。一般的なつけ薬は製薬メーカーが製造したチューブや容器に入った薬ですが、その薬の入ったチューブや容器の表面には商品名、成分名、商品の有効期限が、一部のものには簡単な効能が記載されています。そのため製薬メーカーで作られたつけ薬はひと目でどんな薬なのかすぐにわかりますし、最近のインターネットが発達した状況では薬の名前から各自で副作用など様々な情報を検索することができます。これに対して皮膚科で処方されるプラスティック容器に入れられたつけ薬は、患者さんの手元に薬の説明書がない場合には中に何が入っているかわからず、その薬が効果抜群の場合には秘伝の薬としてもてはやされることがあります。はたして製薬メーカーが作った既製品のつけ薬よりも皮膚科で処方される中身のよくわからないつけ薬のほうが実際によく効くのでしょうか?ここでは実際に皮膚科で処方されるプラスティック容器に入れられたつけ薬とはどのようなものか検証してみましょう。その使用目的は主に四つに分かれますが、それぞれにマイナス面もあり、実際に当院ではどのようにしているか最後に触れさせていただきます。
(1)チューブが使いにくいために容器に移し変えただけのもの
 チューブの薬はしぼり出して少しずつしか使えませんので広い範囲に薬を塗るときには非常に不便です。また、薬の量が多くなるとチューブの本数がたくさんになりすぎて無くしてしまったりします。このような時大きな容器に入れられた薬だと便利です。口の広い容器の薬を指ですくって多くの量を一度に塗ることができますし、チューブのように数が多くなって整理に困ることもありません。
 欠点としては、一度につけすぎてしまうこと、雑菌などが混入しやすく不潔になりやすいことなどがあげられ、また容器にしっかりと薬の名前を記入しておかないといくつも容器がある時にはどの薬か区別がつかなくなってしまいます。
(2)つけ過ぎ(副作用)を避けるために薬の濃度を薄くしたもの
 よく行なうのは強いステロイド軟膏を白色ワセリンで薄めるケースです。本来症状が良くなれば弱いステロイドに変えるか、白色ワセリンで皮膚を保護するかにすればよいのですが、どうしても強いステロイドでないと症状をコントロールできない場合があります。強いステロイドを大量に長期外用しますと皮膚萎縮などの副作用がでやすくなりますので少しでも使用量を減らすために白色ワセリンで薄めます。患者さんがつけ薬を必要以上に広い範囲にたっぷり塗りたがる場合にも同じ目的で薄めることがあります。
 欠点としては、薄める薬によっては薬がよく混ざらなかったりして効果にむらが出る場合がありますし、混ぜることで元の薬の成分がこわされて効果が半減したり、逆に薬の成分の皮膚への吸収が良くなって薄めた意味がなくなる場合があります。
(3)異なる効能の薬を混ぜあわせたもの
 同じ部位に複数の皮膚病が見られた場合にそれぞれの皮膚病に効果のある薬を混ぜあわせて使用します。例えば水虫の患者さんが靴にかぶれている場合、最初にかぶれの治療を行って状態を見きわめてから水虫の治療を行うのが一般的です。ところが、なかなか外来を受診できない患者さんの場合にはかぶれの薬と水虫の薬を混ぜて処方することがあります。
 欠点としては、効果だけでなく副作用も重なりあいますので期待ほどに効果があがらないことがあります。先の例ではかぶれの薬は水虫を悪化させますので、だらだらと混ぜあわせた薬を使っていますとかぶれは治っても水虫がなかなか治らなくなります。結局、最後には混ぜあわせた薬からひとつの薬に変更して使わなければなりません。
(4)つけ薬としては市販(商品化)されていない有効成分を使用したもの
 美容皮膚科で使われる多くのものがこれに当てはまります。たとえば、シミの治療では皮膚科オリジナルとしてハイドロキノン、ビタミンC、レチノイン酸などを成分とする外用剤が作られています。ビタミンC、レチノイン酸などは、市販のものと比べて調合剤の方が高濃度なのでたいていの場合効果が強くあらわれます。
 欠点としては品質の安定性、安全性の問題があげられます。元々、皮膚科オリジナルとして作られている外用剤はその主成分の品質に安定性、安全性がないために商品化されていないものが多く、実際に短期間で使い切らないと多くのものは効果がなくなってしまいます。さらに重大な問題としてこれらの薬は保険の適応外ですので、処方された場合には実費が必要(少量で数千円以上することが多い)となり、混合診療が禁止されている現在ではその他の薬を一緒に保険を使って処方してもらうことはできません。
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