アトピー便り

アトピー便り49:彷徨(さまよ)う患者さんへ(4)

今回は(4)検査をしてもらったことがないので根本から治したいから検査をして原因を見つけたい。 を検証します。多くのアトピー性皮膚炎の患者さん、親御さんは、ステロイドの外用剤を長期間使いながら良くならなかったり、再発を繰り返したりしていますので、ステロイド外用剤を塗るだけでは治らない、止めるとリバウンドする、このまま続けていくと副作用が怖い、と考えるようになります。そこできちんと治すには原因を見つけること、ひいては検査が必要と考えます。
アトピー性皮膚炎は皮膚バリア機能の低下とアレルギーが二つの主な発症因子として考えられていますが、乳幼児では皮膚バリア機能の低下が原因でアトピー性皮膚炎さらには食物アレルギーが発症すると最近になって考えられるようになりました。つまり食物アレルギーがアトピー性皮膚炎の原因というよりも乾燥肌やアトピー性皮膚炎の治療が不十分なために食物アレルギーが起こるというわけです。
乳幼児のアトピー性皮膚炎の診療においては食物アレルギーの検査をしてほしいと親御さんに言われることがしばしばありますが、先の考え方に従えばいきなり食物アレルギーの検査をすることよりも適切な治療やスキンケアを十分に行なうことの方が大事です。適切な治療を行なっていれば症状が良くならなかったり、再発したりすることはあまりありませんし、ステロイドのリバウンドや副作用を心配することもありません。実際に良くならないと言われる患者さんの多くは治療が不十分で、しっかりと治療を続ければたいていは良くなります。
しかしながら、一部の患者さんでは治療をきちんと続けながら良くならない場合もありますし、明らかにアレルギーが疑われるエピソードが見られる場合、重症の場合には積極的に検査を行なって悪化因子の検索(乳幼児では食物アレルギーの検査)を行なう必要があります。
皮膚科、特にアレルギー科を受診すればアレルギー検査を好きなように受けられると思っている方が多いのですが、(3割自己負担の)保険診療では(診察時に確認できる)症状、経過から検査が必要と主治医が考えた場合に必要な項目だけを調べます。検診と同様、患者さんが気になる項目を調べる場合全額自己負担であれば好きなだけ自由に調べることができます。その場合には保険診療ではありませんので、検査の費用や実施の有無は医療機関によって異なりますのであらかじめお問い合わせされることをお勧めします。

2016/4/3

 

 


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