アトピー便り

アトピー便り58:保湿剤を正しく使いましょう

外来では厳しい寒さの到来とともにアトピーの症状が悪化して来院される方が目立つようになりました。定期的に通院されている患者さんはそれほど症状に変動はありませんが、一時調子の良かった患者さんが治療を中止していて急激に悪化するパターンが目立ちます。特に小児の軽症のアトピーでステロイド外用剤をきちんと使って良くなった後、保湿剤だけに切り替えてしばらく時間が経って急激に悪くなってしまう例が後を絶ちません。皮膚科の外来では最近問題となっているヒルドイドを主に保湿剤として使いますが、湿疹病変やかゆみの強いときにはヒルドイドを塗るだけでは良くなりません。治療経過が良好でステロイドの外用を止めたり、減らしたりしてきていた場合お母さんにとってはどうしてもステロイドの外用量を再び増やすことには抵抗があるようです。そこで症状が悪化した時に早めにステロイド外用剤をきちんと塗れば良くなる所をヒルドイドだけをさらに多く塗り続けて悪化させてしまいます。ヒルドイド問題は女性の美容目的での転用使用ですが、アトピーでの誤った使用法についても注意が必要です。ステロイド外用剤を正しく使って症状が良くなれば保湿剤を過剰に使用することはなくなります。ステロイドを必要以上に使って保湿剤の使用を減らすのは本末転倒ですし、適切にステロイド外用剤を使って症状を良くした後に保湿剤を中心に治療を続けていくことが理想です。実際にアトピーの7,8割は軽症ですので正しく治療を行なえば保湿剤中心の治療が可能となりますが、症状の強い場合、悪化因子を取り除くことが難しい場合にはステロイド外用剤を必要最低限に継続もしくは反復して使用していかなければなりません。

2017/12/20


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