アトピー便り

アトピー便り63:パッチテストについて

アレルギー検査(血液検査)とともに電話でのお問い合わせの多いものとしてパッチテスト関連のものが挙げられます。「パッチテストをしてもらえますか」「金属アレルギーの検査をしてもらえますか」というのが主なものですが、その中でも最も多いのは「(元々金属アレルギーがあって、)今度歯の治療をするので歯科金属の金属アレルギーの検査をしてもらえますか」というものです。保険診療であれば前回(アトピー便り62)のアレルギー検査と同様に、診察をした上で検査が必要と考えられる患者さんに対してパッチテストを適宜行ないます。診察時にかぶれ(金属アレルギー)を疑わせる症状(患者さんご持参の写真でも可)を確認して、問診からかぶれ(金属アレルギー)の候補となるものが特定できた場合には(調べられる)必要最低限のものを、特定できない場合にはスタンダードシリーズ(歯科金属シリーズ)などの検体を使って検査します。
先述の歯科金属アレルギーのお問い合わせのケースですが、(日常生活で見られる)金属アレルギーの多くはニッケルアレルギーなので、金属アレルギーの可能性があるからと言って、必ずしも歯科金属をすべて検査する必要はありません。銀歯の周辺がただれているとか、手足に水ぶくれができてなかなか治らないとか、体中に湿しんができているとか、歯科金属アレルギーを疑わせる症状がなければ通常は歯科金属アレルギーのパッチテストは行ないません。それでもパッチテストをご希望なさる場合には自費(全額自己負担)での検査となりますので、ご了解の上ご相談ください。その際、検査できる項目、料金、日程などにつきましてはあらかじめお問い合わせください。
一方で、経過の長い難治性の湿しんの患者さんに、原因を見つけるためにパッチテストの説明をさせていただくことがありますが、パッチテストでは3日間入浴できないとか、検体貼付後2日目、3日目(できれば7日目も)に受診していただかないといけないということもあり、実施に至らないケースも多々あります。特に、金属アレルギーの患者さんは汗によって症状の目立つ夏期を中心に受診されることが多く、パッチテストを(通常)行なう冬場には(症状が目立たずに)来院される機会があまりなく、パッチテストを行なう機会を失ないがちです。
このようにパッチテストは実施時期がほぼ冬場に限定されてしまうこと、頻回の通院や入浴制限が必要なことからどうしても患者さんの同意が得られず実施できないことが多いのですが、パッチテストは難治性の湿しんの原因検索には大変有用で、直接原因にたどり着く可能性のある唯一の検査でありますので、皮膚科の主治医からパッチテストが必要であると判断された患者さんには是非行なっていただきたいと思います。

2018/3/16


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