アトピー便り

アトピー便り75:アレルギー検査できますか?

受診前の電話での問い合わせで多いものの一つが、「アレルギー検査できますか?」というものです。通常の保険診療では、症状があって受診していただいて、症状を確認した上で必要に応じてアレルギー検査を行ないます。従って、症状が確認できないとき、診療の過程でアレルギー検査が必要と主治医が考えないときには検査は行ないません。尚、その時に症状が確認できなくても詳細な問診でアレルギーを疑わせるエピソードが見つかれば検査をすることがあります。結局受診していただかなければ保険診療でアレルギー検査をするかどうかは分かりません。
一方で、問い合わせの時点で患者さんが何か所かの皮膚科をすでに受診されていることも多く、お忙しい中受診されても検査できなければ意味がないと思われて問い合わせをされるお気持ちもよく分かります。何はともあれアレルギー検査をしたいという方は[当クリニックでは]Viewアレルギー39という39項目のアレルギー検査をすることはできますが、保険外(自費)での検査となりますので診察料金も含めたすべての料金として18860円(平成31年3月現在)で行なっています(ご参考までに、保険診療で行なう場合には3割負担の方で5660円(平成31年3月現在)となります)。尚、保険外の検査は病院によって料金が異なりますのでご注意ください。
通常のアレルギー診療では、先述したように患者さんに受診していただいて症状と問診からアレルギーによるものかどうかを主治医が判別して、アレルギーの可能性がある場合には必要に応じた検査を行ないますが、アレルギーではないと判断した場合には、アレルギーの可能性が低い(ほとんどない)理由を説明させていただいたり、どのような場合にアレルギーを疑うかを具体的に説明させていただいたりします。つまり、アレルギーの可能性が低い場合には検査を行ないませんが、アレルギーの可能性が高い場合には患者さんのご要望があれば検査を行ないますし、豆乳アレルギー、ラテックスアレルギー、花粉-食物アレルギー症候群や食物依存性運動誘発アナフィラキシーなど特定のアレルギーでは詳細な検査をします。患者さんの了解なく一方的に検査をすることはありませんのでご安心ください。
ひとつ注意していただきたいことは、必ずしも[アレルギー検査で陽性=アレルギー症状が見られる]わけではないということです。乳幼児の食物アレルギー、特に卵アレルギーが検査で見つかることがありますが、実際には食べれることもありますし、卵の除去食を続けた結果卵を食べられるようになっても卵のアレルギー検査(の数値)が陽性のまま残ることはめずらしくありません。数多くの食材でアレルギー検査(の数値)が陽性の場合でも、多くの場合実際に食べられないものはそのうちの一部に限られます。最終的には実際に負荷試験で食べてみて、症状が出るかどうかでアレルギーの有無を判断します。
アレルギー科を標榜しているため保険診療でアレルギー検査を自由にしてもらえると思われて来院される方も多く、診察時にアレルギーの可能性はほとんどないから検査は保険診療ではできないとか、どうしても検査をする場合には保険外診療になるといったお話をした時にご理解をいただけず、患者さんと押し問答になるケースもあります。この時期テレビの情報バラエティで花粉症や花粉-食物アレルギー症候群が取り上げられることがあり、アレルギー検査の紹介・案内がしばしばされています。アレルギーの情報を広く伝えていただけるのは大変ありがたいことなのですが、その中でアレルギー検査が保険でできるかどうかを含めて料金について説明されていることはほとんどありません。テレビを観て受診される方も少なからずいらっしゃいますので、是非とも料金のことも含めて正しく伝えていただきたいものです。
症状と関係なくアレルギーが気になる方から電話で「アレルギー検査できますか?」と問い合わせを受ければ、詳しい事情がわかりませんので「できますが保険外になります」とお答えするしかありません。検査だけをどうしても受けたい方は(病院ごとで費用が異なりますので)「アレルギー検査をしたいのですが、(自費で)費用はどのくらいかかりますか?」とお問い合わせをされるのがいいかと思います。実際に患者さん自身にアレルギーを心配する症状が一度でも見られた場合には、(アレルギー検査をする、しないに関わらず、結果的にアレルギーでなくても構いませんので)アレルギー科を受診されて、アレルギーかどうかを相談されることをお勧めします(こちらは保険診療です)。

2019/3/10


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