アトピー便り

アトピー便り78:言うことが違う!?突っ込んでください!

先だって市販の外用剤によるかぶれが疑われる患者さんに強力なステロイド外用剤を処方していたところ数日後に再診されて、「つけ薬を塗って却って悪くなりました。1回しか処方された薬は外用していません」とおっしゃいました。かぶれでは通常数日経ってから症状が現れますので、受診される前までかぶれの原因の薬を塗っていた場合には治療を開始してもその直後に症状が遅れて拡がることもあります。そのため、とっさに「つけ薬は勝手に止めてはいけません。数日くらいは塗り続けてください」と言ってしまいました。その後で、かぶれは通常数日後に症状が強く出るので処方した薬のせいで悪くなったのではないこと、処方した薬を塗っていないところが良くならずに周りに拡がっているように見えている可能性が高いことをお伝えしました。
後で冷静に考えてみますと、通常は初診時には「症状が良くならなかったり、悪くなったりする時には治療を止めてすぐに診せてください」とお話していますので、1回塗って症状が拡がってしまいますと止めてしまうのも無理はありません。結局は当方の説明不足で、「(強いかぶれを念頭に置く場合には)治療を開始してからも数日間は症状が拡がる可能性がありますので、数日間は特に広めにしっかりと塗ってください」と説明を加えておくべきでした。このように説明が不十分ですと、初診時と再診時に真逆のことをお話してしまうことになり、言うことが違うと患者さんから不信感を抱かれるようになってしまいます。
アトピー性皮膚炎では経過も治療歴も長くなり、受診時ごとにいろいろお話をしますので、同じ話の繰り返しになることが多いのですが、上述のお話と同じようにたまに真逆のことをお話してしまうことがあるかもしれません。真逆のことをお話している場合には、状況が異なっていたり、合併症が見られたり、治療の副作用が現れたりするなど、必ず理由があります。ご遠慮なく、「前に違うことを言われました」と突っ込んでください。患者さんの疑問や不安を解くことにもなりますし、患者さんとの相互理解を深めるきっかけにもなるかと思います。尚、強い突っ込みは条件反射で強く返してしまうことがありますので、出来ればお手柔らかにお願いします。

2019/5/9

 

 


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