アトピー便り

アトピー便り99:2022年冬

一時症状が軽快していたアトピー患者さんが治療を休んでいて最近またひどくなってきたと受診されるケースが目立ちます。症状がよくなると治療を完全に止めてしまいがちですが、良くなってからも保湿剤を塗り続けますと予防にもつながります。保湿剤だけで症状が改善しない場合には症状がどんどん悪化してしまうことが多いので早めに主治医を受診されることをお勧めします。軽い症状の時であれば軽めの治療ですぐに良くなりますが、一度ひどくなりますと強い治療を長期間行なわなければならなくなりますのでご注意ください。乾燥肌だけなのか、軽い湿しんが混じっているのか、見た目、触った感じだけでは判断しにくい場合があります。このようなときには血液検査でTARCを測定すると判定の一助となります。患者さんが乾燥肌だけと思っている場合でもTARCが上昇していればステロイド外用などきちんと治療をしなければなりませんが、かゆみもみられずTARCが上昇していなければ保湿剤だけのケアで問題ありません。
症状のなかなか良くならない中等症~重症のアトピー患者さんの多くはステロイドの外用をそれなりに長期間続けていますが、十分量の外用ができていないケースがほとんどです。大人であれば広範囲に皮疹のみられるアトピー性皮膚炎では1回に10g(5gチューブ2本)以上を使用して一気に良くして、外用量を漸減していくというやり方が必要となりますが、実際にはせいぜい月に30g~50gしか使用されていません。このやり方はステロイドを恐がる患者さんには抵抗があるようですが、きちんと説明すればほとんどのケースではご理解いただいております。
尚、最も治療に苦慮するのは、かゆみが強く不眠など生活の質を著しく低下させているケースと少なからず強いステロイドを長い間外用しているにもかかわらず、その使用量が不十分なために症状が良くなっていないケースです。長期にわたってステロイドを連用している場合は毛包炎や皮膚萎縮などの副作用がみられていることが多く、一時的とは言え更なるステロイドの大量使用はなかなかできません。このような場合でも近年登場したデュピクセント®(注射薬)を使用すれば症状の改善が望めます。薬の値段がとても高価なこと、使用期間など、使用にあたっては高いハードルがいくつかありますが、お悩みの方は主治医に一度相談されてみてはいかがでしょうか。

2022/12/13


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