STAP細胞の話題も最終局面を迎えつつあるようですが、一連の動きからは何度となく現れては消えた秘伝の外用剤のことが思い起こされます。ステロイドを含まないアトピーに効く特別な薬ということで大々的にアナウンスされていた付け薬が成分分析の結果ステロイド、しかも非常に強い、あるいは最強のものが含まれていたことが後日判明したというものです。これらは民間療法の薬としてではなく、医療機関で処方されており、使用していた患者の方々は大変失望されたことだろうと思います。
民間療法の薬は有効性の有無にかかわらず、科学的なデータが乏しいために医学的には受け入れられていないものが数多くあります。ところが、中にはあとから有効性が科学的に実証されるものもあり、すべてが否定されるものではありません。
STAP騒動の現在の流れは秘伝の薬に置き換えれば、ステロイドの入っていない秘伝の薬を監視下でこれから作成者本人に作ってもらうといったものかと思います。民間療法の薬での先述の実証試験のような動きであれば理解できますが、専門の研究機関で起こった出来事に対しての現在の動きには大変違和感を覚えます。
2014/7/1
アトピー性皮膚炎の治療に関しては確実に一昔前とは考え方、対応の仕方が変わってきています。外用剤の使い方、特にステロイドの使い方が変わってきています。ステロイド外用剤の副作用を考慮して、以前は症状にあわせて必要最低限(実際は不十分)に外用剤を使用するReactive療法が主流でしたが、薬を止めた途端に悪くなったり、いつまでたっても良くならなかったりするということで、最近は良い状態を保ち続けるために外用剤を塗り続けて、漸減していくProactive療法が推奨されています。当クリニックでもついこの間まではReactive療法中心に診療を行っておりましたが、なかなか良くならない患者さん、重症の患者さんを中心にProactive療法を行う機会が増えてきています。アトピー性皮膚炎の多くの患者さんは症状が軽く、治療の内容、有無にかかわらず良くなっていくことが多いのですが、一部の患者さんでは適切な治療を行わないとなかなか良くなってくれません。
そこで、特にProactive療法を行う上で大事なことは症状を正しく見極めることです。外来でよく「皮膚が乾燥しているのですが、保湿剤では良くなりません」と言われることがありますが、実際には湿しんがすでに見られていることが多く、ステロイド外用剤を使用する必要があります。多くの患者さんでは乾燥症状だけの部分と湿しんの部分が混ざり合っており、外用剤を使い分けする必要があります。患者さん自身で適宜正しく塗り分けすることは難しいと思われますので、お近くの皮膚科専門医を受診して外用剤の具体的な使い方を相談されることをお勧めします。
*休眠状態の当コーナーでしたが、今後も不定期に随時更新していきます。よろしくお願いします。
2014/6/26
猛暑、大雨など今年の異常気象を締めくくるかのように超強力な台風26号が日本列島に近づいてきています。本当に各地で被害のないように終わることを祈っています。
安楽君を擁する済美高校の秋季大会早期敗退(これで選抜出場はなくなりました)、ザックジャパンのセルビア戦完敗など、スポーツでは少し残念なことが続いていますが、気を取り直してしばらくはわがジャイアンツの日本一連覇を応援しようと思います。ペナントレース終盤からの勢いをそのままキープし続けるカープはかなり手ごわそうですし、パリーグもロッテ、楽天どちらが出てきても簡単には行きそうにありません。今の強いカープに勝って、楽天のマー君こと田中投手に唯一の黒星をつけて日本一に是非ともなってもらいたいものです。
愛媛FCも残り6試合となりましたが、先日東京ヴェルディに大勝した勢いを最後まで続けて少しでも順位を上げて欲しいものです。来年度からJ1ライセンスを取得しましたので、再来年度以降のJ1昇格を期待しています。四国ダービーのライバル徳島ヴォルティスはJ1昇格が狙える位置で頑張っていますが、この際是非とも来年度のJ1昇格を達成してもらいたいと思います。個人的には徳島は第二の故郷なので、将来的にはJ1で愛媛FCと徳島ヴォルティスがライバル関係でいられることを切望しています。
2013/10/14
京都大学皮膚科の研究グループが皮膚表面の保護機能を高める「フィラグリン」というタンパク質を増やし、アトピー性皮膚炎の症状を改善させる人工合成化合物を発見したというニュースが少し前になりますが連日ニュースで大きく報道されていました。
現在のアトピー性皮膚炎の一般的な治療は、対症的にステロイド剤の外用で湿しんという皮膚の炎症を鎮めながら、乾燥肌という皮膚のバリア異常を保湿剤で改善していくことです。もちろん悪化因子の検索、除去も必要に応じて行なう必要があります。
アトピー性皮膚炎の成因として、先の「フィラグリン」タンパク質の皮膚表面での減少による皮膚のバリア異常からアレルゲンの侵入によって症状が進展していくということが挙げられています。
近い将来この人工合成化合物の研究が進んで、薬としてアトピー性皮膚炎の治療に使うことができるようになれば、湿しんの重症化やアレルギーの進展を防ぐことにつながるものと思われます。ステロイド外用剤の使用量を大幅に減らすことができれば、ステロイド忌避の患者さんや親御さんにとっても福音となる薬になるかもしれません。その日が来るまでは正しくステロイドを使ってアトピー性皮膚炎を上手にコントロールしていきましょう。
2013/10/14
以前から水いぼ(伝染性軟属腫)を治療するかどうかで医師の間で対応が異なっており、子どものお母さん方から戸惑いのお声をいただくことがありました。プールの時期にとるか、とらないかでいつも問題となっていました。
平成25年5月に日本臨床皮膚科医会、日本小児皮膚科学会の統一見解として、「プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。・・・」と発表されました。平成24年4月の時点では同じ両学会の統一見解は、「プールの水ではうつりませんが、肌と肌が触れあうことでうつりますので、おおぜいでプールに入ると感染の可能性が大きくなります。露出する部位のみずいぼは、治療をしてとっておきましょう。・・・」となっていましたので、文面だけをとれば水いぼはとらなくてもよくなったと思いましたし、実際の外来でもそのように伝えていました。治療をしなくても水いぼは最終的には治りますし、子どものあいだではプール以外でうつる機会も多いことからプールを禁止する意味もないのだろうと思っていました。
この連休中に日本小児皮膚科学会で水いぼの治療をテーマにしたセミナーがあり、聴講してきました。講師が皮膚科医だけだったということもあり、水いぼを治療するのは当然であり、スピール膏を使ったり、処置の前に痛み止めのペンレステープを使ったりして、痛みをなくすための方策を工夫しているということでした。プールに入るのは構わないが、皮膚科医としては当然治療をしなければならないと重ねて強調されていました。原則的には水いぼはすべて取るべきという内容でした。統一見解は変わったものの、皮膚科医としての治療のスタンス、考え方は以前と何も変わっていませんでした。
そのセミナーでは統一見解が変わった経緯が何も説明されませんでしたので(聞きもらしたのかもしれませんが)、皮膚科、小児科を問わず治療に対して消極的な医師も多いので、その他諸般の事情を含めて治療に対して積極派、消極派いずれにも配慮した玉虫色の結論を出したのかなと勝手に想像しました(間違っていたらすみません)。
2013/7/16
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