アトピー便り

アトピー便り57:しなくていい検査、しないといけない検査

アトピー性皮膚炎の診断はかゆみ、特徴的な皮膚症状、慢性・反復性の経過から行ないますが、多くの方は血液検査によって診断をするものと誤解されています。初診時に明らかにアトピー性皮膚炎と思われる患児のお母さんから「小児科で血液検査をしましたが、アレルギーはなかったのでアトピーではありません」と言われることがしばしばあります。また逆に「今まで他の皮膚科で治療していましたが、血液検査をしてアトピーかどうか調べてほしい」と言われることもあります。アトピーかどうかは問診と視診・触診で概ね判断できますのでアトピーかどうかを見極めるために積極的に検査を行なう必要はありません。アトピー性皮膚炎の患者さんの7~8割は軽症ですのできちんと保湿や治療を行なえば症状をコントロールすることができますので多くの患者さんは検査をしなくても問題ありません。一方重症のアトピーの患者さんには悪化因子を探る目的でRASTなどの血液検査を早い段階で行なう必要がありますし、外用剤の治療が適切かどうかを見極めるためにTARCを調べます。つまり多くの軽症のアトピーでは血液検査をしなくてもいいことが多いのですが、難治もしくは重症のアトピーでは積極的に検査をしなければなりません。治りにくいアトピーの患者さんでたまに血液検査でアレルギー反応があまり出ていないことがあり、その場合には金属アレルギーやかぶれの悪化因子が潜んでいることが多くパッチテストを行なって悪化因子を探る必要があります。
実際に外来ではあまり検査を必要としない患者さんから強く要望されることが多く、早急に検査をする必要のある患者さんに検査を拒否されることが多々あります。昨今のヒルドイド問題を他山の石として検査が必要な患者さんにはきちんと保険診療で行なうように適切に見極めをすることが皮膚科専門医、アレルギー専門医の役割かと思います。

2017/11/9


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