アトピー便り

アトピー便り114:こちらが悪い?

暖冬ということもあってか、アトピー性皮膚炎の患者さんにおいては例年に比べて皮膚の乾燥によるかゆみで急激に悪化する方は比較的少ない感じですが、早めの治療ならびに保湿のスキンケアは引き続き励行してください。

 これも少し前の話になりますが、患者さんに怒られた2例を紹介します。水曜日の外来は午前診療のみで、患者さんがいなければ通常定刻で入り口のドアを閉めます。ある日戸締まり直後にインターフォンが鳴って「診察をしてください」とのこと。職員が「外来は終了しましたので明日以降来てください」とお伝えしたところ、「以前に来ているのにどうして診てもらえないのか」と押し問答になりました。午後診療がある日とは違って受付のコンピューターもシャットダウンしていますし、会計等の事務処理もすべて終えていましたのでその旨お伝えしてお帰りいただきました。せっかく来ていただいのに大変申し訳なく思いつつ、患者さんは定期的に来られていたのだろうか、しょっちゅう来られていたのだろうか、いつも時間間際に来られる方でたまたまタイミングが悪かったのだろうか、などと思いを巡らせました。フライングで早めに終了したわけでもありませんし、定期的に頻回に来られている患者さんならきちんと時間内に来られるだろうし、あんな押し問答になることはないだろうと思うと少しモヤモヤした気分になりました。
前腕と太もも、おしりに皮疹が出て受診された患者さんに、かゆみはなく、思い当たる原因がないとのことで一通り診た後あせもくらいしか思いつかないとお話したところ「あせもは肘の前にできるから自分でわかる。そんなんではない。良く見もせずにいいかげんな。時間の無駄。」と怒ってキャンセルして帰られました。通常であればここから鑑別診断、対症療法、経過観察のお話をする流れになりますが、取り付く島もありませんでした。診察時には中毒疹や特別な皮膚病を考える程はっきりとした皮疹はみられませんでした。強い日差しに当たったり、服が密着して汗をかいたりして前腕やおしり、太ももにあせもができるのは珍しくありませんので、今でも見立ては変わっていません。もちろん経過が分からないので正解だったかどうかはわかりません。患者さんにすれば広い範囲に今までに見たことの無い皮疹が出たことから特別な皮膚病を心配されたのだろうと思います。こちらとしては一見して特別なものではないと判断したのは事実なので、おざなりな見方・対応をしていると患者さんに感じさせてしまったのであれば反省するところです。とはいえそこまで言われる筋合いはないのですが・・・。一方で早とちりや勘違い、思い込みなどで患者さんに不快な思いをさせてしまったり、たまには誤診してしまったり、全面的にこちらが悪いケースも過去にはいくつか身に覚えもあります。コミュニケーション能力が高くないことは自覚していますし、実際に後からインターネットの書き込みで痛烈に非難(ほとんど誹謗中傷?)されているのを見て大変傷ついたことも数多くあります。このような書き込みの多くは一方的な言い分で、議論や反論・訂正もできませんので最近は意識して見ないようにしています。普段からより良い診療が提供できるように今回のようなケースを含めて自らその都度省みています。

2024/1/6


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