アトピー便り

アトピー便り133:りんご病にご注意を

少し前にほっぺの紅斑が目立たない、四肢に皮疹が目立つ、りんご病(伝染性紅斑)ではないかと思われる子どもさんを診る機会が何回かありました。いずれもまわりでりんご病が流行っているとのことでしたのでほぼ間違いないものと思われました。多くの患児は小児科にかかることが多いため、流行期でも診察する機会が当クリニックではそれほど多くありませんので、今回のように典型例でない場合には注意が必要だと感じました。その後も大人や典型的なほっぺの紅斑がみられる子どもさんも含めて、引き続き昨日に至るまで患者さんの受診が続いています(りんご病の松山市における感染状況ですが、松山市医師会週間疾患情報によれば6月26日の定点報告以降明らかな流行がみられ、一時期減少傾向でしたが、7月31日時点でも流行状態は続いています)。尚、大人のりんご病は子どもの症状と異なる(顔の皮疹がみられない)ことが多く、関節の腫れが特徴的です。りんご病の治療は基本的には(対症療法しか)ありませんが、自然に治ります。ただし妊婦の方については合併症にご注意ください。
アトピー患者さんについては当クリニックでは定期的に通院される再診患者さんが多く、急激な変化があまりないのでトレンドがつかみにくくなっていますが、汗対策、紫外線対策、ハウスダスト、ダニ、イネ科花粉などのアレルゲンに対する注意、ストレス緩和、皮膚の清拭・スキンケア、適切な外用治療はすべてのアトピー患者さんにとってこの時期共通の対処法です。具体的な治療はアトピーの症状(皮疹、かゆみ)の程度、経過、治療歴によって十人十色異なりますので、信頼できる皮膚科専門医の下で治療を続けてください。不定期に受診される方は悪化時に受診されることが多いため前回までの治療で良くなっていたかどうか分かりませんが、多くの場合は適切な治療が十分に続けられていません。治療自体は有効で、問題がなければ(当クリニックを受診していただけるのは大変ありがたいのですが)、症状が悪化しないように定期的に継続して通院できる皮膚科の受診をお勧めします。また、かかりつけの皮膚科が混み合っていてこちらに来られる患者さんがこの時期特に増えてきます(同様にこちらを受診していただくのは大変ありがたいことです)が、初診時に治療経過を十分に把握できないことが多いためなかなか適切な治療ができず、短期分の(こちらの判断で前医と異なることも多い)処方しかできません。特に、保険診療では初診時に保湿剤だけを処方することはできません。当クリニックでは機械的に前医と同じ長期分の処方をすることはありませんので、ご安心、ご納得の治療を続けられるためにはお時間のある時に前医で治療(処方)を続けてもらうようにしてください。
猛暑すぎてアウトドアの機会が減っているのか、(近隣の皮膚科に患者さんが集中しているのか)これまでのところ例年ほど夏特有の皮膚のトラブルで受診される患者さんは(子どもを含めて)多くありません。尚、日中の猛暑の時間帯が夕方まで続くためか、また患者さんの多い皮膚科から一部の方が回ってくることもあったりしてか、夕方の診療終了時間近くに患者さんが集中することが時々ありますので、受診してくださる患者さんはご留意ください。

(余談)何か月か前の話になりますが、症状の強いアトピー患者さんを生物学的製剤の使用目的で基幹病院に紹介する機会が続きました。患者さんがかゆみから解放されて症状が改善、治癒に近づくことを願ってやみません。これらのすべての紹介患者さんが順調に経過すれば、また新たにお困りの患者さんを積極的に紹介しやすくなりますので何とか良くなって欲しいものです。

2025/8/5

 


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