アトピー便り

アトピー便り08:アトピー患者さんの近況について

 季節の変わり目で症状が悪くなる方もいらっしゃいますが、全体的には比較的症状がおちついています。汗で症状がひどくなる方はほとんど見られなくなりましたが、これからは空気の乾燥に伴い症状が悪くなる方が増えてきます。
 比較的症状の落ち着いているこの時期に保湿を中心とするスキンケアを十分に行ない、早めの治療を心がけて症状がひどくならないように心がけましょう。
 アトピー性皮膚炎でなかなか症状の良くならない方は先ず治療が適切に行われているかどうかを検討する必要があります。主治医によく相談してチェックしてみてください。適切な治療が行われているにもかかわらず症状の改善が見られない場合には、血液検査やパッチテストで悪化因子を検索する必要があります。

2010/10/7

アトピー便り07:夏場のアトピーについて

 多くのアトピー患者さんは汗でかゆくなり、引っかいてしまい症状が悪化しがちです。特に幼小児では水いぼ、とびひが多くみられる時期ですが、アトピーの子どもさんは皮膚のバリア機能が弱いため水いぼやとびひにもかかりやすく、重症化しやすい傾向にあります。シャワーなどの汗のケアと早めのアトピーの治療を同時に行うことがとても大事です。

 尚、掻きこわしがひどい場合にはアトピーが悪くなっただけなのか、とびひや単純ヘルペスなどの感染が起こっているのか、簡単には区別ができません。このような場合には治療を行って経過を見ながら診断をしていきます。従って、良くならないからと再診することなく皮膚科を転々とすることは却って症状の悪化を招くことになりますのでご注意ください。

 アトピー患者さんにとっては乾燥で症状が悪化する冬とともに夏はつらい時期ですが、汗対策、紫外線対策を十分に行って、しばらく続きそうな猛暑を乗り切りましょう。

2010/8/18

アトピー便り06:当クリニックでの近況について

 梅雨明けも間近となってきましたが、汗のために症状が悪化する方が多くみられています。小児では汗でかゆくなり掻きこわしてしまうため、とびひやみずいぼが一気に拡がってしまうことも珍しくありません。アトピーの症状をきちんとコントロールすることがとびひや水いぼの悪化を防ぐことにもなりますので早めの治療を心がけてください。

 アトピーの患者さんやご家族の方から診察時にいろいろご質問を受けることがありますが、夏の比較的患者さんが多い時期にはご納得いただくまで十分に時間をとって説明できない場合も出てきます。特に土曜日の診療時間に患者さんが集中する傾向にありますので、平日に受診いただくか、ご希望の方には随時アトピー勉強会を行ないますのでお申し出ください。

2010/7/14 

アトピー便り05:二つの学会に参加して

 アトピー性皮膚炎治療研究会の今回のテーマは漢方治療についてでしたが、漢方については学術的な解析もどんどん進んできているようです。
 同じ漢方でも同じ病気の患者さんに使っても効き具合が違い、患者さんの体質によって使い分けが必要であることはよく知られています。アトピー性皮膚炎の漢方治療ではそれ以外にもストレスや性格などの心因的要素が関与して治療効果に差が出るとのことで使いこなすのは難しそうです。心因的要素がアトピー性皮膚炎の症状の悪化に関与していることは実際の臨床でもしばしば経験しており、そのことを違った角度から証明しているものと思われました。
 食物アレルギー研究会は小児科の医師を中心にした会ですが、食物アレルギーの関与するアトピー性皮膚炎について(研究会としての)具体的な対応、現状を知りたいと思い参加しました。ごく一部には検査に基づく厳格な食事制限を強調する昔ながらの考えの方も見受けられましたが、一昔前とは異なりおおむね皮膚科との違いもほとんどなく、アウェー感を味わうこともありませんでした。「先ずスキンケアと薬物療法を十分に行い、改善されない場合に必要最低限の食事制限を行う」といったもので、今まで通りの治療を続けていくので良いと意を強くしました。

2010/2/26

アトピー便り04:あるラジオ番組にて

 先だって地元のあるラジオ番組でリスナーからの投書で、子どものアトピー性皮膚炎である医者にかかったところ子どもへの対応が不十分で親として納得がいかなかったといった内容のものがありました。そのリスナーの知人ならびに番組担当の医師の意見としては、「その医者はあなた方にとっては名医ではなかったということですね」といったものでした。
 アトピー性皮膚炎の子どもさんを診る機会も多いので、ひょっとして自分のところに来られた患者さんではなかろうか!?と脳裏をよぎりました。このケースの事情はよくわかりませんが、外来では診察に抵抗する元気のよい子どもさんに遭遇することはめずらしくありません。そうした場合実際の対応としては子どもさんを刺激しないようにして診察を円滑に進めることを考えます。小さなお子さんでこちらが見ると泣く場合や何度かお話ししても変わりがない場合には、子どもさんとは目を合わさず親御さんとだけやりとりをする場合もあります。目を合わさないということは、怒っているとか、冷たいとかいった印象を相手に与えますし、親御さんには納得がいかないと思われることもあるだろうなとも思います。わざわざ当クリニックを選んで来ていただいた患者さんに対して全くそのような心づもりはないのですが・・・。
 このような場合の一番の名医とは、子どもをおとなしくさせたり、診察を嫌がる理由を聞いたりして上手く対応できる医者だろうと思います。私自身そうなりたいとは思いますが、そうした対応には人間性やいろいろな経験も必要になってきますので一朝一夕にはなかなか身に付きません。一方で、立場や見方が変わると全く違ったとられ方をすることもありますし、日頃から相手の態度に条件的に反応をしてしまいがちですので、こちらの事情も少しは分かってくれないかなとも思ったりもします。いずれにせよラジオで取りあげられた医者が自分でないことを切に願いながら、やはり患者さんには不快な思いをさせることのないように十分に注意をはらって診察を行わなければならないと反省を込めていろいろ考えさせられた番組でした。

2010/1/21


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