アトピー性皮膚炎治療研究会の今回のテーマは漢方治療についてでしたが、漢方については学術的な解析もどんどん進んできているようです。
同じ漢方でも同じ病気の患者さんに使っても効き具合が違い、患者さんの体質によって使い分けが必要であることはよく知られています。アトピー性皮膚炎の漢方治療ではそれ以外にもストレスや性格などの心因的要素が関与して治療効果に差が出るとのことで使いこなすのは難しそうです。心因的要素がアトピー性皮膚炎の症状の悪化に関与していることは実際の臨床でもしばしば経験しており、そのことを違った角度から証明しているものと思われました。
食物アレルギー研究会は小児科の医師を中心にした会ですが、食物アレルギーの関与するアトピー性皮膚炎について(研究会としての)具体的な対応、現状を知りたいと思い参加しました。ごく一部には検査に基づく厳格な食事制限を強調する昔ながらの考えの方も見受けられましたが、一昔前とは異なりおおむね皮膚科との違いもほとんどなく、アウェー感を味わうこともありませんでした。「先ずスキンケアと薬物療法を十分に行い、改善されない場合に必要最低限の食事制限を行う」といったもので、今まで通りの治療を続けていくので良いと意を強くしました。
2010/2/26
先だって地元のあるラジオ番組でリスナーからの投書で、子どものアトピー性皮膚炎である医者にかかったところ子どもへの対応が不十分で親として納得がいかなかったといった内容のものがありました。そのリスナーの知人ならびに番組担当の医師の意見としては、「その医者はあなた方にとっては名医ではなかったということですね」といったものでした。
アトピー性皮膚炎の子どもさんを診る機会も多いので、ひょっとして自分のところに来られた患者さんではなかろうか!?と脳裏をよぎりました。このケースの事情はよくわかりませんが、外来では診察に抵抗する元気のよい子どもさんに遭遇することはめずらしくありません。そうした場合実際の対応としては子どもさんを刺激しないようにして診察を円滑に進めることを考えます。小さなお子さんでこちらが見ると泣く場合や何度かお話ししても変わりがない場合には、子どもさんとは目を合わさず親御さんとだけやりとりをする場合もあります。目を合わさないということは、怒っているとか、冷たいとかいった印象を相手に与えますし、親御さんには納得がいかないと思われることもあるだろうなとも思います。わざわざ当クリニックを選んで来ていただいた患者さんに対して全くそのような心づもりはないのですが・・・。
このような場合の一番の名医とは、子どもをおとなしくさせたり、診察を嫌がる理由を聞いたりして上手く対応できる医者だろうと思います。私自身そうなりたいとは思いますが、そうした対応には人間性やいろいろな経験も必要になってきますので一朝一夕にはなかなか身に付きません。一方で、立場や見方が変わると全く違ったとられ方をすることもありますし、日頃から相手の態度に条件的に反応をしてしまいがちですので、こちらの事情も少しは分かってくれないかなとも思ったりもします。いずれにせよラジオで取りあげられた医者が自分でないことを切に願いながら、やはり患者さんには不快な思いをさせることのないように十分に注意をはらって診察を行わなければならないと反省を込めていろいろ考えさせられた番組でした。
2010/1/21
先だってボクシング世紀の一戦内藤対亀田戦がありました。結果は亀田選手の完勝で実力差を見せつけた試合でしたが、内藤選手は自分から攻撃を仕掛ける戦法に終始していました。もしも勝負にこだわって亀田選手と同じような戦い方をしていたならば少し違った結果になっていたかもしれません。亀田選手は一貫して勝利にこだわっていましたが、内藤選手にとっての優先順位はチャンピオンらしく戦う事のほうが上であったように感じました。
ちょうど今回のボクシングタイトルマッチの放送はわが故郷松山とゆかりのあるNHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」の初回放送と重なってしまいました。スポーツ好きの自分としてはいつもならボクシングをリアルタイムで見るのですが、今回に限っては「坂の上の雲」の方が優先順位が上で、ボクシングはビデオ録画で見ました。
行政刷新会議の事業仕分けでは医療分野に関してもいろいろ対象として取り上げられました。財務省の動きは相も変わらず医療費削減の一点張りで小泉政権時代からの違いが感じられませんが、長妻厚生労働大臣の言動からは医療崩壊の立て直しを最優先にしているのがうかがえます。医療分野においても民主党政権には政権交代の大義、優先順位の変更を期待したいものです。
2009/12/4
時期的にアトピーの症状が悪化する方がとても多くなってきました。皮膚の乾燥を通り越して湿しんがみられていることが多いため、漫然と保湿だけのスキンケアを続けることのないようにご注意ください。
アトピー性皮膚炎患者さんの7~8割は症状が軽いものの、慢性、反復性に症状が見られますので一回の治療で終わることはほとんどありません。そのため症状にあわせて治療を続けていく必要があります。定期的に受診するのが理想ですが、いろいろな事情によりできない場合もあります。症状の見られないとき、薬が十分手元に残っているときには診察を受ける必要はありません。薬が手元に残っていても効かない場合、症状が悪化した場合には受診する必要があります。
特に症状のひどい方は症状に応じて薬を適宜変えなければなりません。その見極めのためにも定期的に受診してください。なかにはいつもひどい状態で受診される方がいますが、治療が不十分のことが多くこまめに受診してしっかり治すようにしてください。
2009/11/29
昨日原ジャイアンツが日本ハムを4勝2敗で破りめでたく日本一になりました。ジャイアンツファンとしてはリーグ制覇をしながらプレイオフで敗れたり、先に王手をかけながら逆転されたりと悔しい思いをしてきたので選手同様喜びもひとしおです。
特に第5戦の逆転サヨナラ劇は数多くの野球の試合を見てきた中でもベスト5に入る印象に残る好ゲームでした。
日本シリーズのMVPは阿部捕手でしたが、そのほかにもペナントレースを通しては小笠原選手、ラミレス選手、ゴンザレス選手など数多くの選手が主役級の活躍をしましたが、亀井選手、松本選手、坂本選手もこの1年で大きく成長しましたし、抑えの越智、山口、豊田、クルーン各投手も役割分担を確実にこなし、谷選手、古城選手、大道選手、今年で引退する木村選手などもいぶし銀として活躍を続けて、本当に素晴らしいチームになりました(このほかにも活躍した選手 (グライシンガー、高橋尚成投手など)は数多くいますが・・・)。何年か前までは走れない、守れない長距離砲を何人もそろえて野球盤のようにシングルヒット3本で得点ができないといった笑うに笑えない場面を少なからず目にしてきましたので隔世の感があります。
2学年しか違わない原監督がWBC制覇に引き続き日本一に輝いたことは、同年代の者としてはとても刺激になりました。このような理想に近いチームを作り上げた原監督は東海大相模時代のイケメン、ジャイアンツの若大将の印象とは異なり、一年を通した戦略、試合での采配、選手の掌握術などからは上司の理想像としていろいろ学ぶべきものがありました。
2009/11/8