アトピー便り

アトピー便り76:アトピー治療に近道&王道なし

アトピー性皮膚炎の患者さんは全体的には軽症の方が多いものの、通常症状の経過は長くなります。同じ皮膚科を変わらず受診される方、転医を繰り返される方、自己判断で治療を中断して再度元の皮膚科を受診される方など、患者さんの受診スタンスもいろいろです。
定期的に通院されている患者さんでも、重症の方ではなかなか十分に症状を抑えきれないケースもありますし、比較的症状の軽い方でも受診間隔の空いている場合や不定期に受診されている場合には外用剤などの治療が十分にできていないことが多く、あまり症状が良くなっていないケースもめずらしくありません。
転医を繰り返される方の多くは楽にすぐに良くなる治療がないかと皮膚科を替えられることが多いのですが、ダイエットと同じで近道はありません。治療経過や検査データなど情報量が多くなることから通常は「後医は名医」と言われますが、何の情報提供もなく転医されますと誤診にもつながりますのでご注意ください。初診時にいきなり「原因は何ですか?」とか、「すぐに治してください」とか言われることがよくありますが、治療を重ねて、検査をしたり、経過を観たり、その都度お話を伺ったりして初めて対応できることですので、強く求められますと「わかりません」とか「ずっと診てもらっている先生の方が情報量も多く、病状を良くお分かりなので、引き続き診ていただいた方がいいかもしれません」と即答してしまうこともあります。一方、こちらの診立てでいろいろ説明をさせていただいた後に「前の先生はこう言っていた」と言われることも少なくありません。そちらの内容の方が正しいと思われる場合は素直に受け入れさせていただいておりますが、判断をしかねる場合、そう思われない場合にも(強く言われますと)先と同じようにお答えしてしまうこともあります。
また、初診時にいきなり「前の病院のお薬を同じだけ(もっと)ください」と求められることがあります。次回以降は前医を受診する予定で、何らかの事情で今回だけ受診できなかった場合にはつなぎとして少な目の量をご要望に沿った形で処方することはありますが、経過も病状もよくわからない状況で求められるままに前医と同じ内容の処方をすることは通常ありません。強く求められますと同様に「前医に引き続き処方してもらってください」とお答えしてしまいます。待ち時間が長い、なかなか予約できない皮膚科を受診されている患者さんに多く見られますので、そのお気持ちも良く分かりますが、ご了解ください。何とか時間を作って引き続き前医を受診されるか、新しい皮膚科でこれまでの経過をすべてお伝えしていただいて新たに治療を始めるか、いずれかをお選びください。
中断後の受診患者さんは一度良くなってから悪くなったのか、ずっと変わらず悪いのか、悪くなり続けているのか、途中他の皮膚科で治療を受けていたのか、状況によって治療内容がガラッと変わります。正しく経過、状況が伝わらないときちんと治療できませんので、受診時には必ず途中経過をお伝えください。
患者さんによって症状の程度、経過、受診スタンスなど様々ですが、それらに関係なくアトピー性皮膚炎の治療の目標は症状を軽くして、皮膚を良い状態に保つことです。アトピー性皮膚炎では症状の軽い患者さんでも保湿などのスキンケアの継続は必要ですし、症状の強い方ではステロイド外用薬やタクロリムス外用薬を正しく使用していくことが大事です。難治性の患者さんでは外用療法と異なる治療を行なうこともありますし、詳細な問診、検査などで悪化因子を整理して除いて行くことが必要となることもあります。また、症状は良くなったり悪くなったりを繰り返すことも多いですし、別の皮膚病が現れることもありますし、治療の副作用が出てくることもあります。アトピー性皮膚炎の治療はこれらをすべて踏まえたうえで行われますので、テーラーメイド医療が必要とされています。

2019/4/1

 

アトピー便り75:アレルギー検査できますか?

受診前の電話での問い合わせで多いものの一つが、「アレルギー検査できますか?」というものです。通常の保険診療では、症状があって受診していただいて、症状を確認した上で必要に応じてアレルギー検査を行ないます。従って、症状が確認できないとき、診療の過程でアレルギー検査が必要と主治医が考えないときには検査は行ないません。尚、その時に症状が確認できなくても詳細な問診でアレルギーを疑わせるエピソードが見つかれば検査をすることがあります。結局受診していただかなければ保険診療でアレルギー検査をするかどうかは分かりません。
一方で、問い合わせの時点で患者さんが何か所かの皮膚科をすでに受診されていることも多く、お忙しい中受診されても検査できなければ意味がないと思われて問い合わせをされるお気持ちもよく分かります。何はともあれアレルギー検査をしたいという方は[当クリニックでは]Viewアレルギー39という39項目のアレルギー検査をすることはできますが、保険外(自費)での検査となりますので診察料金も含めたすべての料金として18860円(平成31年3月現在)で行なっています(ご参考までに、保険診療で行なう場合には3割負担の方で5660円(平成31年3月現在)となります)。尚、保険外の検査は病院によって料金が異なりますのでご注意ください。
通常のアレルギー診療では、先述したように患者さんに受診していただいて症状と問診からアレルギーによるものかどうかを主治医が判別して、アレルギーの可能性がある場合には必要に応じた検査を行ないますが、アレルギーではないと判断した場合には、アレルギーの可能性が低い(ほとんどない)理由を説明させていただいたり、どのような場合にアレルギーを疑うかを具体的に説明させていただいたりします。つまり、アレルギーの可能性が低い場合には検査を行ないませんが、アレルギーの可能性が高い場合には患者さんのご要望があれば検査を行ないますし、豆乳アレルギー、ラテックスアレルギー、花粉-食物アレルギー症候群や食物依存性運動誘発アナフィラキシーなど特定のアレルギーでは詳細な検査をします。患者さんの了解なく一方的に検査をすることはありませんのでご安心ください。
ひとつ注意していただきたいことは、必ずしも[アレルギー検査で陽性=アレルギー症状が見られる]わけではないということです。乳幼児の食物アレルギー、特に卵アレルギーが検査で見つかることがありますが、実際には食べれることもありますし、卵の除去食を続けた結果卵を食べられるようになっても卵のアレルギー検査(の数値)が陽性のまま残ることはめずらしくありません。数多くの食材でアレルギー検査(の数値)が陽性の場合でも、多くの場合実際に食べられないものはそのうちの一部に限られます。最終的には実際に負荷試験で食べてみて、症状が出るかどうかでアレルギーの有無を判断します。
アレルギー科を標榜しているため保険診療でアレルギー検査を自由にしてもらえると思われて来院される方も多く、診察時にアレルギーの可能性はほとんどないから検査は保険診療ではできないとか、どうしても検査をする場合には保険外診療になるといったお話をした時にご理解をいただけず、患者さんと押し問答になるケースもあります。この時期テレビの情報バラエティで花粉症や花粉-食物アレルギー症候群が取り上げられることがあり、アレルギー検査の紹介・案内がしばしばされています。アレルギーの情報を広く伝えていただけるのは大変ありがたいことなのですが、その中でアレルギー検査が保険でできるかどうかを含めて料金について説明されていることはほとんどありません。テレビを観て受診される方も少なからずいらっしゃいますので、是非とも料金のことも含めて正しく伝えていただきたいものです。
症状と関係なくアレルギーが気になる方から電話で「アレルギー検査できますか?」と問い合わせを受ければ、詳しい事情がわかりませんので「できますが保険外になります」とお答えするしかありません。検査だけをどうしても受けたい方は(病院ごとで費用が異なりますので)「アレルギー検査をしたいのですが、(自費で)費用はどのくらいかかりますか?」とお問い合わせをされるのがいいかと思います。実際に患者さん自身にアレルギーを心配する症状が一度でも見られた場合には、(アレルギー検査をする、しないに関わらず、結果的にアレルギーでなくても構いませんので)アレルギー科を受診されて、アレルギーかどうかを相談されることをお勧めします(こちらは保険診療です)。

2019/3/10

アトピー便り74:FTU(フィンガーチップユニット)って何?

アトピー性皮膚炎の治療はステロイド剤の外用や保湿剤でのスキンケアなど、つけ薬が中心となりますが、一回にどの程度塗るか、どのくらい塗り続けるか、場所や症状によってどのように塗り分けするのか、など必要に応じて診察時に説明させてもらっています。FTU(フィンガーチップユニット)は一回に塗る外用剤の量の目安で、チューブの薬をおとなの人差し指の第1関節分の長さ(=1フィンガーチップユニット)を出して、おとなの手のひらの面積2枚分を塗ると丁度よいというものです。
軽症のアトピーではここまで塗らなくてもよい場合がほとんどですが、中等症~重症の場合やすでに不十分な治療をだらだらと続けている場合には一度しっかりとFTUに従って外用剤を塗る必要があります。アトピー性皮膚炎では症状の目立つところだけつけ薬を塗っていますとモグラたたきのように塗っていないところから症状が出てくることが多いので、全体にしっかり塗る必要があります。この塗り方で全身にもれなくつけ薬を塗った場合、6カ月の赤ちゃんでは1回に塗る量が約4g(8&1/2FTU)、2歳児では約7g(13&1/2FTU)、5歳児では約9g(18FTU)、成人では約20g(40&1/2FTU)となり、かなりの量になることがわかります。尚、これは日本皮膚科学会、日本アレルギー学会共通のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018にも明記されています。
初診時にはFTUの説明をすべての患者さんにするわけではありませんので、数か月以上経ってから「全然良くなりませんでした」と再診されるケースが後を絶ちません。症状が良くならないときには1~2週間後に再診していただければ、当クリニックでは実際に行なっていた外用療法と症状の推移とを照らし合わせてFTUを含めて外用療法の正しいやり方を詳細に説明させていただいています。

2019/3/2

 

アトピー便り73:スギ花粉症?大豆アレルギー?

この時期スギ花粉症の方の受診が増えてきている一方で、前々回の「花粉症と食物アレルギー」でもお話しましたが、ハンノキ花粉症の方もこの時期症状が目立ちます。つい先だって患者さんのお話(症状の経過)から食物アレルギーを疑って検査をしたところ、大豆アレルギーほか数多くの食物アレルギーとハンノキアレルギーが見つかるケースが続きました。ハンノキアレルギーは、リンゴ、モモ、ナシ、イチゴ、メロン、スイカ、大豆(主に豆乳)、キウイ、オレンジ、ヤマイモ、マンゴー、アボカド、ヘーゼルナッツ、ニンジン、セロリ、ジャガイモ、トマトなど関連が報告されている食物が数多くあります。特に花粉症の見られるこの時期に食物アレルギーの症状が目立ちやすくなります。花粉症のある方で、これらの食物を食べた直後に毎回のどがイガイガする場合には一度アレルギー科でご相談ください。尚、食べた後に毎回症状が出るのでなければアレルギーではなく、検査する必要はありません。症状がはっきりしないときには何度か食べてみて確認してください。スギ花粉症の影でハンノキ花粉症ひいては大豆(豆乳、モヤシ)アレルギーの見落としが少なからずあるのではないかと感じる今日この頃です。

2019/2/19

アトピー便り72:学校生活指導管理表(アレルギー疾患用)について

日本学校保健会で作成されている学校生活指導管理表(アレルギー疾患用)がありますが、アトピー性皮膚炎も対象疾患としてその中に入っています。記入する項目は、重症度、常用する外用薬、内服薬、食物アレルギーの有無、プール指導及び長時間の紫外線下での活動、動物との接触、発汗後における留意点、その他の配慮・管理事項についてで、主治医が記入することになっています。実際にはアトピーの子どもさんは軽症の方が多いので、これを利用することはほとんどありません。ところが、アトピーでも症状がひどくなると見た目も目立つようになりますし、強いかゆみで絶えずひっかいて集中力が欠けたりしますので、学校の先生にも現在の症状のこと、治療のこと、悪化因子などについて、この学校生活指導管理表(アレルギー疾患用)を介して理解してもらい、サポートしてもらう必要があります。学校生活指導管理表(アレルギー疾患用)が必要かどうかは皮膚科専門医の主治医に一度ご相談ください。

2019/2/7


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