アトピー便り

アトピー便り105:アトピー患者さんあるある1

先だって診察時間の終了近くに初診でアトピー性皮膚炎の症状の目立つ方が来院されました。1週間分の外用剤と内服薬を2週間分処方しました。その1か月後にお昼休み間近に再診されて、「外用剤は残っているので内服薬だけ欲しい」と言われました。一応内服薬を2週間分追加処方しましたが、外用もきちんとできていないし、皮疹もあまり良くなっていなくてとても複雑な気持ちでした。このようなケースは特にアトピー性皮膚炎の患者さんあるあるで、いつも診察時間の終了間際に来院されて、診察に来られる(治したい)というよりはお薬だけもらえればいいといった感じです。皮疹を診てもらおうという雰囲気は感じられず、病状、経過を説明してくれるわけでもありません。多くは一度限りの受診で終わりますが、今回のように仮に再診されても症状が良くなっていることはほとんどありません。患者さんに受診していただけるというのはありがたいのですが、毎回時間間際に来られますので十分に時間をとって診察、説明はできませんし、基本的にこちらの説明、指示通りにしようという意思も見受けられません。そのためお話も説教じみたり、こちらの口調も強くなったり、一方的に大雑把に話すだけになったりします。従って段々と再診されなくなる方も多いのですが、再診される場合は忘れた頃にまた同じように時間間際に来院されます。その背景を想像してみますと、普段はかかりつけの皮膚科があって説明も処方もしてもらっていて、そこがお休みや大変混み合っている時にこちらに来られているのではないでしょうか。見立て通りであれば、その旨を診察時に直接伝えていただければと思います。そうすれば患者さんに嫌な思いをさせることなく、(ご要望通りにはならないかもしれませんが)次にかかりつけ医を受診するまでのつなぎ分を処方することができます。こちらもその時は少しはショックを受けるかもしれません(顔に出るかもしれません)が、セカンドチョイスという位置づけで来ていただけるのはうれしく思います。一方で、これに当てはまらないにもかかわらずきちんと説明をしてもらえなかった、良くならないので不満足という患者さんは改めて終了時間の間際以外の時間に余裕を持ってご来院いただければと思います。ご要望にお応えしてきちんと診察、説明をさせていただきます。尚、診察を受けられる時間が限られている方はアトピー性皮膚炎の再診患者さんにつきましては当クリニックでは時間予約を受け付けています(土曜日を除く)ので受付でお申し出いただくか、もしくは夜間診療ならびに土曜日午後、日曜診療をしている皮膚科を受診されることをお勧めします。

2023/4/6

アトピー便り104:小麦アレルギー2選

ここのところスギ花粉の飛散が多くなり、皮膚のトラブルで受診される患者さんが増えてきました。少し前になりますが、立て続けに小麦アレルギーの患者さんを二人診る機会がありました。一人目はケンタッキーフライドチキンを食べた直後に運動をしてアナフィラキシー様の症状が起こって後日受診されました。過去にも食後に運動をして何回か蕁麻疹が出たことがあり、一度はパスタを食べた後とのことでした。一連の経過から小麦依存性運動誘発アナフィラキシーを疑い血液検査を行いました。IgE(ω-5グリアジン)陽性で診断を確定することができました。二人目は食事後走った後に喘息様の症状とめまいが起こり後日来院されました。同様に小麦依存性運動誘発アナフィラキシーを疑い血液検査をしましたが、IgE(ω-5グリアジン)は陰性で、IgE(小麦)のみ陽性でした。今回の検査では原因の特定はできませんでしたが、問診でイネ科の花粉症やフルーツのアレルギーを申告されましたので、花粉-食物アレルギー症候群関連のアレルギーの可能性もあります。また、別の食材による食物依存性運動誘発アナフィラキシーも疑われますので更なる検索、注意が必要となります。
症状が良くならないのでアレルギーを調べてほしいといきなり検査希望の初診の患者さんが数多く来院されますが、やみくもに検査をして症状の原因につながるアレルギーが見つかることはほとんどありません。今回のように患者さんからのいろいろな情報(エピソード)がアレルギーの診断には非常に重要ですので、このようなエピソードのある方は一度アレルギー科を受診されることをお勧めします。

2023/3/8

アトピー便り103:なすすべなし2

お昼休み直前に幼児を連れてこられたお母さんにいきなり金属アレルギーの検査をしてくださいと言われました。他医で金属アレルギーの可能性を指摘され、現在は金属成分を制限した食事をしているとのことでした。現在は金属アレルギーを疑わせる症状がないことから、当クリニックでは検査はできないこと、ならびに金属アレルギーのパッチテスト自体を行なっていないことをお伝えしたうえで前医で改めて検査をしてもらうようにお話しました。すると保湿剤だけ出してくださいということでしたが、初診で保湿剤のみの処方はできない旨説明したところ激怒して帰られました。・・・。

2023/2/16

アトピー便り102:治療?スキンケア!

少し前の話ですが、顔の湿しんでコレクチム(0.25%)®軟膏、お尻の湿しんにステロイド外用剤、抗ヒスタミン剤内服を処方した子どもさんが約1年ぶりに2回目の受診をされました。今回は特別な湿しんはなく、お母さんが保湿剤のみ希望されました。当クリニックでの2回の受診の間は別の小児科でワセリン、ヒルドイド®を大量に処方されていました。一度は治療をしていたこともあり、今回のみ保湿剤を処方しました。保険診療では皮疹がなく、保湿剤だけの処方を続けることはできないことを説明させていただきました。
軽いアトピー性皮膚炎の場合でも通常は弱いステロイドやプロトピック®軟膏やコレクチム®軟膏などを一時的に繰り返し使用することが多く、保湿剤だけで済むことはほとんどありません。実際にすでに湿しんがあるにもかかわらず、「保湿剤だけでは乾燥肌が良くならない」と言われる患者さんが数多くいらっしゃいます。これらはステロイド忌避に伴う保湿剤の偏好によりますが、症状がひどくなってから受診されるケースが後を絶ちません。一度症状がひどくなりますと、強いステロイドを広範囲に使わなければなりませんが、ひどくならないうちに適切に早めにステロイドを外用すればその使用量も少なく抑えられます。
長期間にわたって保湿剤だけで済む(湿しんなどの症状が見られない)のであれば、すでにアトピー性皮膚炎が寛解した可能性が高く、その場合は薬局で市販されている保湿剤だけを使用するので構いません。一方で一度治っていたアトピー性皮膚炎が再発することはめずらしくありませんので、乾燥肌だけでなく、かゆみが強くなったり、湿しんなど少しでも変化があればためらわず早めにかかりつけの皮膚科を受診してください。

2023/2/13

 

アトピー便り101:なすすべなし

半年くらい前に顔面の皮疹で受診された患者さんが2回目の受診で来院されました。初診時は他医でステロイド、プロトピック®軟膏、コレクチム®軟膏を外用しておりましたが、肌に合わないとのことで当クリニックのホームページを見てモイゼルト®軟膏を希望されました。結局初診時以降、処方したモイゼルト軟膏を含めて何も外用はしていないとのことで、患者さんのご要望は替わりの内服薬がないかということでした。明らかな皮膚炎が見られることから、外用に替わる内服治療薬はない(処方しない)こと、外用剤の効果を見ながら治療の変更、継続をしていくことをいくつかの外用パターンを示して説明させていただきました。すると、治療(処方)は要らないとのことでしたが、処方はしなくても診察料金はかかる旨を伝えたところ「二度とここには来ません」と言い残して帰られました。そもそもアトピー性皮膚炎として治療をしていましたが、アトピー性皮膚炎の治療には定期的な診察が必要ですし、場合によっては接触皮膚炎なのか、あるいは別の皮膚病かどうかを鑑別する必要があり、そのためには全身の皮疹の観察、詳細な問診、経過観察、さらには検査が必要となります。実際のところ2回の診察でこれらは十分に(ほとんど)できていません。患者さんにとってもこちらにとっても後味の悪い出来事でした。

2023/1/16


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