アトピー便り
〇これからの時期、日焼け、あせも、虫刺され、毛虫皮膚炎、植物かぶれ、水虫、とびひ、みずいぼなど、老若男女を問わず夏期特有の皮膚疾患が急増する季節です。アトピー便りではアトピー性皮膚炎と食物アレルギーの話題が中心となっていますが、当クリニックではこれらの疾患も同じように診療しています。症状の軽いうちに早く治療すれば多くの場合すぐに治ります。薬局のお薬で済まそうとか、このくらいの症状で病院に行くのはどうかとお気遣いなさる患者さん、親御さんが多くいらっしゃいますが、お気兼ねなくご来院ください。実際には、時には経過をみるしかない場合もありますし、治るのに時間がかかったり、跡がしばらく残るものもありますし、患者の皆さまにご安心いただくにはその都度説明が必要となります。
〇尚、当クリニックは予約制でありませんので、急な発症でも当日に診察を受けることができます。ただし、十分な問診、説明をさせていただくには、初診の際には少なくとも終了時間の30分前には来院されることをお勧めします。
2022/6/10
〇比較的しのぎやすい天候が続いており、アトピーの患者さんも比較的症状の落ち着いている方が多いようです。これから急に暑くなって、汗をかく機会が多くなりますので、急激な症状の悪化が懸念されます。汗対策ならびに、症状の変化に合わせて治療を変えていく必要があります。特に外用剤を切らした状態で、悪化因子が重なりますと一気に症状がひどくなります。症状の強いアトピーの患者さんは外用剤の適切な継続治療が必要ですのでご留意ください。
〇定期的に皮膚科を受診されている患者さんは心配ありませんが、不定期に皮膚科を受診されている患者さんは、特に暑い時期は、日光によるトラブル、虫刺され、水虫、あせもなど皮膚科の患者さんが急激に増える時期ですので、暑くなる前に早めに主治医を受診されてお薬を処方していただくことをお勧めします。
2022/5/20
〇最近ピーナッツアレルギーの小児を診る機会がありました。お母さんのお話がとても正確であったため、血液検査でRAST(Ara h 2)を調べて診断を確定できました。一方で、花粉-食物アレルギー症候群が疑われる成人の方で関連項目の血液検査をしましたが、すべて陰性でした。症状(問診)に関係なく行う検査は保険外で自費となりますが、症状(問診)をもとに行なう検査は保険診療となるので患者さんのお話にはどうしてもバイアスがかかりがちです。
〇また、サケのおにぎりを食べて数時間後に蕁麻疹がみられたケースもありましたが、患者さんにはアニサキスアレルギーの可能性を説明しました。このような場合にはこちらとしては検査をしたいのですが、費用もかかりますし、患者さんからはご要望もなく経過観察となりました。
〇アレルギー診療は患者さんごとで異なりますが、共通して最も大事なのは患者さんから得られる正確な情報です。アレルギーはアレルゲンと症状の因果関係、症状の再現性が重要となりますので、食事内容、食材を含めてすべての事象をメモして診察時にご持参いただくと診断の手助けとなります。アレルギーが疑われる場合には詳細な問診が必要となり、診察時間がかかりますのでアレルギーで皮膚科を受診される患者さんは診察終了時間間際の受診を控えられることをお勧めします。
2022/4/28
〇先だってザ!世界仰天ニュースで恒例のアレルギー特集が放送され、その中でpork-cat syndromeやクルミアレルギーなどが紹介されていました。[最近はTVerやhuluで(オンデマンドで)後から番組を観ることができますので気になる方はチェックしてみてください]。当クリニックでも過去に小児の重症のアトピー性皮膚炎で悪化因子検索中に豚肉、牛肉、イヌ、ネコのアレルギーが見つかりpork-cat syndromeの予備軍を診断したことがありました。クルミアレルギーについては、最近はかなり確度が高く血液検査(Jug r 1)で診断することができるようになりました。これらのケースでもペットの飼育歴、クルミを食べた直後に症状が出たことがある(繰り返す)など、問診から得られる情報が診断の大きな手助けとなります。このようなテレビ番組でアレルギーが紹介された後は検査希望の患者さんが増えがちですが、検査だけでアレルギーが見つかることはほとんどありません。番組と似たような状況、症状が見られる場合には積極的に皮膚科やアレルギー科を受診されることをお勧めします。番組で紹介された症状と患者さんで見られる(が説明される)症状が実際には異なる場合も少なからずあり、検査をするかどうかは診察医の判断で決められます。検査が必要でなければ(保険診療で)検査はできませんのでお含みおきください。
2022/2/3
〇当クリニックはアレルギー科を標榜していることもあって、アレルギーの血液検査を希望する患者さんが多く受診されます。症状に応じて必要な検査を行なうのが保険診療ですので、(患者さんの自己申告のみで)症状が確認できない場合、検査が必要でない場合に検査をしますと患者さん10割負担の自費診療(保険外)となります。検査希望で受診されるほとんどの方は、アレルギー科であれば保険診療でご希望通りに検査ができると思って来院されていますので、その都度説明してご理解いただいています。
〇特にアトピーに関しては、「他の皮膚科を受診していますが、検査をして欲しいので来ました」とか、「検査をしてアトピーかどうか知りたい」とか言われることがよくあります。「前者」については、(診療は希望されずに)検査だけで受診された場合にはそのままかかっていた皮膚科に戻って検査をしてもらうか、保険外で検査を行なうかになります。診察、治療も希望される転医であれば、症状がひどい場合には初診時に検査を行なうこともありますし、軽症を含めて多くの場合は再診時以降に必要に応じて検査を行なっています(必要がなければ行ないません)。「後者」についても必要であれば検査を行ないますが、アトピーの診断は問診と皮疹の診察による臨床診断によって行なわれるものであり、検査(特にIgE)は参考所見にすぎず、検査でアトピーの確定診断をするわけではないことを説明させていただいています。
〇一方で、こちらから積極的に検査をしたいケースもあります。中~重症アトピーの初診の患者さん、きちんと外用療法を続けながら症状の改善が十分でない場合、乳幼児期から小児期になって症状が悪化した場合、時期を問わず症状が急変した場合などです。このような場合にはIgE(RIST)(全体のアレルギーの傾向をみる)、IgE(RAST)(卵、ミルク、ダニなど個別のアレルギーをみて悪化因子を調べる)、TARC(アトピーの皮疹の重症度をみる)などを必要に応じて検査します。またパッチテストパネル®でニッケル、コバルトなどの金属アレルギーを含めた湿しん(かぶれ)の悪化因子を調べることもあります。
〇尚、検査の採血は一瞬痛いので、幼小児は通常嫌がります。パッチテストは3日間入浴ができませんし、二日後、三日後の受診が必要となります。TARCに関しては、その値と皮疹の経過によっては繰り返し検査をしますが、患者さんによっては検査の意義をなかなかご理解いただけません。また、すべての検査において通常の診療代に加えて検査代が余分にかかります。このような具合を踏まえて、こちらが検査を提案しても患者さんから辞退されることも珍しくありません。
〇当クリニックは検査をしない(してくれない)と思われがちのようですが、上記のような患者さん目線と皮膚科医目線の違いで誤解されているのかもしれません。先ずは患者さんの症状を治すことを念頭に置きながら、アトピー診療では検査の意義は大きいのでこれからも必要に応じて行なっていきます。検査に関して何か気になることがありましたら診察時に遠慮なくご質問ください。
2021/11/1
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