気まぐれ随想録

つけ薬の処置について

 皮膚科での治療の中心はつけ薬ですが、診察の時につけ薬を処方するだけで終わると「薬をつけてくれないのか?薬をもらうだけなら薬局とかわらないではないか!?」と言われることが時々あります。実際に当クリニックでは患者さんによって薬を塗ったり、塗らなかったりしますが、その辺りの事情について説明させていただきます。当クリニックで患者さんに処置として薬をお塗りするケースとしては、症状がひどく、ガーゼ処置などが必要なとき、かゆみが強く少しでも早く薬を塗ったほうがよいと思われるとき、背中など自分で薬が塗れない場合が先ずあげられます。また、初診で薬の塗り方を一度説明しておいたほうが良いと思われた場合にもお塗りする場合があります。基本的に自分で塗れる場所で、症状の強くない場合や薬を塗った直後、あるいは入浴までの時間があまりない時には薬の処方だけを行ないます。また、陰部など患者さんが自分で塗ることを希望されるだろうと予測できるケース(ただし処置が必要な場合は除く)も処方だけにします。患者さんに処置でつけ薬をつけるとその塗る範囲に応じて処置料がかかりますので患者さんのご要望がなければできるだけ処方だけにしています。
 患者さんによって薬を塗ってもらいたい方と自分で塗りたい方に分かれますが、なかなかどちらを希望されているか判断しかねることも少なくありません。散髪屋さんで「ひげを剃ってほしい」あるいは「剃らないでほしい」と意思表示をするのと同様に「薬を塗ってほしい」または「自分で塗る」とご遠慮なくお伝えいただければと思いますが、如何なものでしょうか?

いぼ、みずいぼの治療について

 子どもに多く見られる皮膚病の中にウイルス感染によるいぼ、みずいぼがあります。診断はそれほど難しくありませんが、その治療に関してはしばしば対応に苦慮します。
 いぼに対する一般的な治療は液体窒素療法、みずいぼに対する治療はピンセットによる摘除(つまみとること)です。いずれの治療にも共通することは痛いことです。多くの子どもはその治療の痛さに泣き叫んだり暴れたりします。また両疾患とも一度の治療で完治することはあまりありません(何回か治療をしなければなりません)。また、いずれもウイルス疾患なので将来的には抵抗力がつけば治ります。しかし、いつ治るかははっきりわかりません。治療をしなければしばらくのあいだ症状はひどくなったり、他の子どもにうつす可能性があります。治療をするのであれば少しでも数の少ない時期に行なったほうが子どもの苦痛も少なくてすみます。
 実際の外来では上記の内容をお母さん、子どもさんにお話してどうするかを決めます。お母さんが「治療をしてください。」あるいは「子どもが痛がるのはかわいそうなので治療は止めておきます。」とはっきりと意思表示をしてくださる場合もあれば、お母さんが子どもさんに「どうする?」と聞いて子どもさんに一任される場合もあります。子どもさんに一任すると大抵の場合治療は止めることになります。
 かつては外来に来られた時点で治療を希望しているものと考え、無理やり子どもを力づくで押さえて治療を行なっていました。現在、当院ではインフォームドコンセントを大事に考えていますので治療をするかどうかの選択権は患者さんに委ねています

(蛇足)時々、「いぼ(みずいぼ)の治療をする時に痛み止めのテープをしてください。」とお母さんから言われることがあります。一部の医療機関では痛み止めのテープが実際に使われているためですが、痛み止めのテープは保険適応になっていませんし、範囲が広いときに全部にテープを貼るのは副作用の面から非常に危険です。実際に使われている痛み止めのテープはその医療機関でサービス(無料)で使用されているものですが、当院では使用しておりませんので何卒ご了解ください。


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