気まぐれ随想録

後医は名医 or 名医は患者さん次第!?

 先日ある医療情報サイトで「後医は名医」という言葉を目にしましたが、正確に言うと「患者さんが名医を作る」といったところでしょうか。「後医は名医」というのは、後から診察する医者のほうが、前の医者から治療を受けた経過やいろいろな情報がプラスされて治療を行うので病気の経過が良いことを表しています。ところが、後医にかかる時に前医での治療を伝えずに初診と変わらない診察を受けた場合には正しい診断が難しく前医よりも良い結果は期待できません。「後医は名医」になるのは、患者さん自身が後医に前医での診断名、治療内容、検査結果、治療経過を正しく伝えたうえでの話ですが、そうでない場合には「後医はヤブ」か「前医がまし」になってしまいます。「後医は名医」のケースでは、実際にはきちんと前医に再診を受けていないことが多く、再診を受けていれば「前医は名医」となっているケースも多いのではないかと思われます。患者さんにとっては「前医はあわない」というのが正しいところかもしれません。初診で正しい診断と治療ができるのが理想ですが、検査や治療経過をもとに診断を確定させたり、治療を変更したりしていくことも少なからずあります。この治療経過に関する情報が診断や治療結果に大きく影響しますので、適切な情報が患者さんから提供された場合にはそれだけで正しい診断ひいては治癒につながることがあります。医者の力量が名医の指標となるのは当然かと思いますが、患者さんには名医の輩出にときにはご協力いただき、ヤブ医者を作り出すことのないよう大いにご助力いただければと思います。

アレルギー検査と保険診療

 当クリニックはアレルギー科を標榜しているためアレルギー検査を目的に受診される方が多く見られます。アレルギー症状が見られる方アレルギーかどうかの鑑別が必要な方、またアトピー性皮膚炎接触皮膚炎の患者さんでは問題なく保険診療(=一般の方は3割負担)でアレルギー検査を行うことができます。
 ところが、アレルギーを疑う症状が何もないにもかかわらずアレルギーかどうか調べてほしいと言われることがあります。これらの検査を行うことは人間ドックや検診と同じで保険診療の対象とはなりません。従って、検査を行う場合には費用を全額お支払いいただかなければなりませんが、保険診療で検査を行うことができるものと思い込んでおられる方がほとんどです。
 特に最も困るのは経過の長いじんま疹の患者さんが原因検索を目的に受診された場合です。薬を飲む治療だけで、症状がなくならないため何とか原因をつきとめて治したいと願う患者さんのお気持ちはよくわかります。しかし、じんま疹の原因がアレルギーによる場合は数パーセントにすぎず、しかもアレルギー検査の項目は数多くあり特定の検査で原因を見つけだすことはほとんど不可能です。従って、患者さんから検査を希望された場合でも実際に検査を行うのは問診などでアレルギーの関与が疑われるケースに限られます。
 もう一度まとめますと、医師が必要と考えて行うアレルギー検査保険診療で行えますが、医師が必要と認めない場合でも患者さんがどうしてもアレルギー検査を行いたい場合には全額負担で実施することができます。その場合にご注意いただきたいことは、混合診療の禁止よりアレルギー検査以外に医療行為があった場合にはアレルギー検査以外の診察料、処置料、薬代などもすべて全額負担となることです。
 実際に外来でアレルギー検査を希望される方に対して、患者さんが込み合っている場合にはこのような説明をその都度十分にできないことがあり、その場合には結論のみで対応せざるを得ません。患者さんに少しでも納得していただくためにこのような記事をご参照いただければと思います。

スポーツシーズン到来

 ついこの間WBCでの日本の感動的な優勝に酔いしれたところでしたが、休む間もなくプロ野球も開幕しました。わが巨人軍は不運にも2敗1分けと最悪のスタートとなった一方で、宿敵中日は好調な滑り出しですが、そのうち追い付き追い越すものと確信しています。今年に限っては今後もWBCに良い選手を集める意味で中日以外のチーム(できれば巨人)が優勝しなければなりません。
 愛媛県代表が2チーム出場していた選抜高校野球も早々と姿を消してしまったため、熱が入ることもなくいつのまにか終わっていました。特に最近は今治西の黄金時代の感が強い中、春の県大会で松山商業が久々に上位に進出して今年こそ「夏将軍」の復活を期待しています。
 愛媛FCも比較的対戦チームに恵まれているとはいえ現在4位につけており、1勝1敗の昨年惜しいところで優勝を逃した愛媛マンダリンパイレーツとともに今年の大躍進を期待したいところです。
 何はともあれ今年もできるだけ多くのスポーツをみて、楽しんでいきたいと思います。

アトピー性皮膚炎治療研究会 皮膚科心身医学研究会に出席して

 先だってアトピー性皮膚炎治療研究会、皮膚科心身医学研究会の二つの学会に出席しました。アトピー性皮膚炎治療研究会のテーマは「アトピー性皮膚炎への心身医学的アプローチ」で、今回心身医学についてご専門の先生からいろいろなお話を聞くことができてとても参考になりました。

 純粋に心身医学を専門にされている先生だけでなく、皮膚科を専門にしながら心身医学にも造詣が深く、実際に診療に活用されている方が少なくないのは意外でした。いずれの学会でも患者さんの話をよく聞き、受け入れることから始まるということが強調されていました。アトピー性皮膚炎では、特にこれらの点が重要なことは以前より個人的にも感じており、実際にアトピー相談やアトピー教室などで患者さん同士の相互交流を図ることができればと思っていましたが、これまでは開催する機会がありませんでした。今回、アトピー教室が実際に行われている病院でのいくつかの取り組みを目の当たりにして当クリニックでも是非とも開催していきたいと改めて思いました。

正月スポーツから感じたこと

 元旦の天皇杯サッカーに始まり、正月はスポーツイベントが目白押しで毎年楽しみにしていますが、今年も箱根駅伝での東洋大学1年生選手の大活躍や実業団駅伝での最後のデッドヒートのほか、高校・大学ラグビーや高校サッカーなど多くのスポーツでいろいろ感動的なシーンを堪能することができました。
 その中で最も印象に残ったのは、スキージャンプ大会での大ベテラン勢の活躍でした。長野オリンピックの団体戦金メダルは記憶に未だ強く残っていますが、最も記憶に残る原田選手や斎藤選手はすでに引退してしまい、その後若手も出てきて少しずつ国際大会で活躍するようになってきてはいるものの、日本ジャンプ陣は「日の丸飛行隊」と呼ばれた、かつての栄光には程遠いものでした。長野オリンピック団体戦では控えにまわっていた葛西選手も安定した実力を発揮し活躍していましたが、今回一番うれしかったのは不振にあえいでいた船木選手が復調の兆しを見せ、先に復調していた岡部選手はワールドクラスの実力を発揮し、今後に大いに期待を抱かせるものでした。
 ジャンプ競技の日本選手は元々実力がありながら、大柄なヨーロッパ選手に有利なルール改正が突然に行われたために船木選手や岡部選手などほとんどの日本の有力選手が一気に低迷してしまいました。一時代を築いた選手たちですので、引退という選択肢もありながら、そこから努力を重ねて復活を果たし、いまだに活躍を続ける葛西、岡部、船木選手、同世代の東選手には心より敬意を表します。
 ジャンプ選手に限らず、プロ野球楽天イーグルスの山崎選手、中日ドラゴンズの山本昌投手、横浜ベイスターズの工藤投手、Jリーグのカズ選手、ゴン中山選手など各スポーツにも大ベテラン選手で活躍を続ける人たちがいますが、共通した印象はそれぞれに競技スポーツをこよなく愛していて、そのスポーツに真摯に取り組む姿を我々が目の当たりにすることで元気、やる気を与えてもらえるということです。


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