アトピー便り

アトピー便り31:Yahoo!にて

 今日のYahoo!のトップページのトピックスの項目に「アトピー、心のケアも大切」というタイトルで産経新聞の記事が掲載されていました。非常に多くの人の目につくところでアトピー性皮膚炎についての正しい情報が流れることは大変喜ばしいことです。コンパクトながら充実した内容でした。とても参考になりました。

2012/9/12

アトピー便り30:正しい情報を

 アトピーに関する家庭医学の新刊本を本屋さんで目にする機会が以前よりずっと減ってきているように思います。アトピーの治療に関しては日本皮膚科学会でガイドラインもできて、標準治療が広く行きわたるようになり治療現場での混乱が少なくなってきたためかと思います。先日ある本屋さんの雑誌コーナーで、新聞の広告欄でもよく目にする健康情報雑誌がアトピー特集を行なっているのを立ち読みしました。その内容はあまりにも衝撃的なものでした。少なくとも10年以上時代をさかのぼったような内容で、ステロイドバッシング、脱ステロイド、最近はあまり目にすることのなくなった内容の記事でした。
 インターネットを含めてアトピーに関する情報は巷には氾濫しています。これらの情報から正しいものだけを整理していくのは大変かもしれませんが、医学的に正しいもの、アトピービジネスと関係のない情報を集めるように心がけてください。いろいろな情報で混乱されている方は九州大学医学部皮膚科学教室、日本アレルギー学会、日本アレルギー協会などのホームページのアトピー関連記事を一度ご覧になることをお勧めします。医者に対する不満から医療不信に陥っている方におかれましては、患者会(日本アレルギー友の会)のホームページを是非ご覧ください。

2012/8/21

アトピー便り29:結局同じ?!

 今から20年くらい前には食物アレルギーの関与するアトピー性皮膚炎の治療において皮膚科では食事制限をしなくても自然に食物アレルギーは治るから皮膚の治療だけで良いといった考えが主流でしたが、小児科ではきちんと食事制限をする必要があるという考えが中心でした。
 時は流れて最近では皮膚科、小児科ともまずスキンケアを含めた皮膚の治療を行なって、十分な効果が得られない場合に必要に応じて最低限の食事制限を行なうというコンセンサスのもとで治療をしています。
 ところが、最近一部の小児科で行なわれている免疫療法は少しずつアレルギーの原因となる食物を食べさせて食物アレルギーを改善させるというやり方ですが、これはとりもなおさず昔の皮膚科のやり方を理論的に進めたものではないかと思います。食物アレルギーは軽症から重症に至るまで幅広く、実際の免疫療法は即時型の重症例が中心でアトピー性皮膚炎のみで対象となることはあまりありませんが少し感慨深く感じています。  

2012/7/25

アトピー便り28:あせも?

 アトピー性皮膚炎では汗をかくと症状がひどくなることが多く、外来でもあせもができたと言われることがよくあります。長期にわたって通院しているアトピーの子どもでは、よく見るとあせもではなく、アトピーの湿しんがひどくなっているケースがしばしばです。アトピーでは汗のアレルギーがあると言われており、首のまわり、肘の前、膝の裏、手首、背中など汗のたまりやすい部位がアトピーの好発部位にもなっています。
 夏場にシャワー浴を励行したアトピーの子どもは一般のアトピーの子どもに比べて明らかに症状が軽いという報告があります。このように汗のスキンケアはアトピーの症状悪化を未然に防ぎますので心がけてみてください。但し、石けんでの洗いすぎ、タオルでのこすり過ぎは皮膚のバリアを壊してアトピーをかえって悪くしてしまいますのでご注意ください。
 夏場は日光に当たったり、いろいろな状況によってあせももよく見られます。あせもかアトピーの症状か区別のつかないときには早めに皮膚科専門医を受診されることをお勧めします。

2012/7/16

アトピー便り27:水いぼの治療が痛くない?!

 アトピー性皮膚炎の子どもではしばしば伝染性軟属腫(水いぼ)が見られます。平均1~2ミリ程度の少し光沢のある突起物が皮膚に多発してくるものですが、軟属腫ウイルスの感染により起こります。これはアトピーの子どもは皮膚のバリアの働きが弱く、原因ウイルスに感染しやすいことと、水いぼならびにアトピーの湿しんを引っかくことでまわりにうつしてしまうためです。
 治療はピンセットで中の白い塊をつまみ出すことですが、子どもにとってはとても痛く、たいていの子どもは泣きさけんだり、暴れたりします。従って、治療の前に親子ともども事情を説明しますと、多くの場合治療は見送られます。治療をしなくて済むのは放置しても水いぼは最終的には抗体ができて治るためです。
 一方で、治療をしないでおくと治るまでの間にほとんどの場合いぼは増え続けていきますので、プールの時期にはまわりの子どもにうつす可能性が高くなってきます。一度とらずにおいたものの、いぼだらけになってスイミングスクールや学校から治療をしてくるように促されて再来院されるケースもしばしばです。(多数の)水いぼの治療イコール格闘の始まりで、泣きさけび暴れる子どもを押さえつけて治療するのは皮膚科医にとってもとてもつらいものでした。しかも治療は一回で終わることはなく、何度も繰り返されることになります。
 このたび水いぼの治療の際の痛みを和らげるために痛み止め(局所麻酔剤)のテープを保険診療で使用できるようになりました。今までも一部の医療機関ではサービスとして使われていたようですが、これからは全医療機関で使うことができます。少なくとも以前は治療を見送られてきた水いぼの子どもでも治療を行なうケースが増えてくるかと思われます。テープの貼布時間によって痛みの軽減度は変わりますし、使用に当たってはいくつか注意点がありますので、水いぼの治療でお悩みの親子の方は一度かかりつけの皮膚科医に相談してみてください。

2012/7/4


外来診療の概要

  • 治療指針
  • 主な診療の現状
クリニック・ドクターについての情報はこちら