アトピー便り

アトピー便り131:アトピーの治療が感染予防に

5月中下旬においては異常に暑い日があったり、風があると少し肌寒い朝夕もあったりと、なかなか天候は落ち着きませんでしたが、紫外線の強い日は特に帽子、日傘、日焼け止めを使って皮膚のトラブルを避けましょう。まだ梅雨前、夏はもう少し先とはいうものの、季節外れの強烈な日差しを長時間浴びますとやけどを起こすことがありますのでご注意ください。軽装になるに従って、小児では水いぼ、とびひなど接触感染による皮膚疾患も増えてきますのでご注意ください。アトピー患児は皮膚のバリアの働きが弱いことからこれらの疾患を起こしやすく、湿しんをひっかくことで拡がっていきますので予防の意味でも普段からアトピーの外用治療をしっかり行なって皮膚の状態を整えておきましょう。また逆にこれらの感染性の皮膚疾患にかかりますと、そのままアトピー治療(ステロイド外用など)を続けてしまうと悪化してしまいますので早めに主治医を受診してください。

(余談)先述の水いぼ、とびひについてですが、これからプールの季節になると水いぼは増えてきますし、虫刺されのひっかき傷からとびひになる患児も多くなってきます。これらの皮膚科での処置について、水いぼをとる、とらない、とびひのガーゼ交換を毎日病院でする、しないはそれぞれの皮膚科医の方針によって異なります。当クリニックではひととおり説明をした上で、親御さんならびに患児のご意向を踏まえて治療を決めています。水いぼについては取る場合、取らない場合、取る場合には一回でとるか、何回かに分けてとるか、痛み止めのテープを使うか、使わないか、いろいろなケースがありますが、(時間はかかっても必ず治りますので)最近は取らずに様子をみるケースが増えています。基本的には数が多い場合、極端に大きな物がある場合、処置の痛み、不安に耐えられない場合、治りかけで赤くなっている場合には自然治癒を待ちます。尚、主治医がいながら水いぼの治療だけをこちらで取って欲しいと当クリニックを受診されるケースもちょくちょくあります(1週間くらい前にもありました)が、主治医の方で水いぼの治療もしていただくようにしています(主治医が取らない方針であればそれに従ってください)。とびひについては、初診時には当クリニックでガーゼ処置をしていますが、基本的にはご自宅でガーゼを用意してもらって患部の処置をしてもらい。4日後の再診としています。初回の処置の時にご自宅でのガーゼ処置が難しければ毎日通院していただくようにお伝えしていますが、実際に連日通院される方はほとんどいません(4日後の再診もされないケースもありますので、実際に良くなっているのかどうか、他医で処置をしてもらっているのかどうかは分かりませんが)。尚、とびひについては大本の治療である抗生物質の内服薬、外用剤の投薬も行ないます。

2025/6/2

アトピー便り130:症状の強い方は注射製剤の検討を

日中の日差しが強くなってくる中、意外と昼夜の寒暖差が目立ちます。少し前まではしもやけの患者さんもみられました。時候の変わり目で皮膚のトラブルも多くなります。アトピー性皮膚炎では汗、ストレスなどで症状が悪化しますのでご注意ください。症状の軽いアトピーではステロイドを中心とした症状に応じた適切な外用治療とスキンケア、悪化因子の除去で症状は改善します。かゆみが強く、悪化因子の除去も十分にされていない場合、外用治療も不十分になりがちで症状はひどくなってしまいますが、デュピクセントなどの注射製剤を使えば十分にコントロール可能です。薬は非常に高価で治療実施機関も限られていますので、症状の強い方は一度主治医にご相談されることをお勧めします。当クリニックでは注射製剤の治療を希望される患者さんは近隣の基幹病院皮膚科に紹介しています。

(雑考)ある時元々当クリニックに通院されていたアトピー患者さんが別の皮膚科を受診して異なる薬を処方されて、受診時に「そちらの方が良かった」と言われました。これはしょっちゅうある話ですが、実際のところこちらよりも強い薬を処方されていました。一方で、何種類か処方をしていましたので、こちらよりも弱い薬に変更されていたものもありました。こちらとしては連用する箇所については副作用を考慮して少し弱めのものを処方したり、きっちりと外用できていない箇所には症状を軽くするために少し強めのものを処方したりします。今回のケースではご要望を伺った上で敢えて今まで通りの処方を続けさせていただきました。(内心ではずっとこちらが診ているのに一回診てもらっただけの方を信用するのか?残念!と思いながらも、セカンドオピニオンが正しい場合も少なからずありますので)皮膚科医によって考え方・治療のスタンスが異なるので、今後は患者さん自身が納得できる方を選んで通院されるようにお話しました。このような状況であれば別の皮膚科にそのまま替えられる患者さんも多いなか再診していただいたこと、包み隠さずお話していただいたことにはとても感謝しています。一方で、改めて患者さんと信頼関係を築くことの難しさ、言い換えれば普段の患者さんの診療満足度の低さならびに当方のコミュニケション力の低さを痛感させられました。基本的には症状や経過に応じて治療は変えていますが、特にクリニカルイナーシャ(アトピー便り125ご参照ください)の状況下ではあまり変化のない(良くなっていない)患者さんに対しても機械的に診察してお薬を出しての繰り返しになりがちですので(状態が良ければ問題ないのですが)こちらの診療スタンスを省みる機会にもなりました。

2025/5/5

アトピー便り129:春の皮膚トラブルにご注意を feat.水いぼ

スギ花粉による皮膚炎が疑われる患者さんが見受けられます。時候の変化により寒暖差による皮膚のトラブルもようやく落ち着いてきそうです。少しずつ汗や紫外線による皮膚のトラブル、アトピー性皮膚炎などのいろいろな皮膚病の悪化が見られるようになりますのでご注意ください。
(蛇足)先だって診療の終了時間(4月1日より18時になっています)間際に水いぼの治療で子供さんがいらっしゃいました。年少児で大きな水いぼがたくさんありましたので、時間に余裕がある日に改めて受診していただくようにしました。水いぼの治療は患部をピンセットでつまみとるので痛みを伴います。従って水いぼの数が多い場合や年少児の場合、当クリニックではご要望に応じて麻酔のテープを使います(土曜日、診療終了時間間際は除く)。麻酔のテープを貼ってから1時間後に治療しますので時間に余裕がある時に受診してください。尚、水いぼの数が非常に多い場合1回の処置で使用できるテープの量(や診療の時間)は限られているため何回かに分けて治療しますのでご了解ください。1,2個の水いぼの治療であれば(無麻酔で)すぐに治療できますので(痛いのが問題なければ)いつでもご来院下さい。尚、水いぼの治療は1回で完結しないことが多く、水いぼウイルスに対する抵抗力ができるまでは何度でも再発します(⇒治るまでに時間はかかりますが、最終的には治りますので(痛みを避けたい子どもさんには)経過観察という選択肢もあります)。スイミングなどで水いぼNGの場合には頑張って取るしかありません。

2025/4/6

アトピー便り128:花粉-食物アレルギー症候群にご用心

ここのところ寒暖差が目立ちますが、それに伴う皮膚のトラブルも見られます。これからは春に向かって段々と暖かくなってきますが、アトピー性皮膚炎ではストレスや汗などでも症状が悪化しますのでご注意ください。
スギ花粉症の本格的なシーズンが到来します。中には顔面や頸部にスギ皮膚炎が見られる方もいらっしゃいますが、その場合は外用治療も必要になります。一方で、スギ花粉症と思われる方の中には同時期に飛散するハンノキ、オオバヤシャブシなどの花粉症の方が一部含まれている場合があります。リンゴ、モモ、イチゴなどの果物や特定の食物を食べた直後に口の中やのどに違和感がみられる方は、花粉-食物アレルギー症候群の可能性がありますので一度血液検査をされることをお勧めします。

(蛇足)先だって日本テレビの「カズレーザーと学ぶ」の中でも上記の内容を扱っていました。明日21:59まではTVerでどなたでも観れますのでお見逃しの方は是非ご覧下さい。

2025/3/3

アトピー便り127:治療の継続を

この冬いろいろな感染症が流行していて皮膚疾患の治療は後回しにされがちですが、アトピー性皮膚炎など経過が長かったり、繰り返し起こる皮膚病では治療を急に止めると一気に悪くなることがありますのでご注意ください。少なくとも感染症の症状が落ち着いてからは速やかに皮膚病の治療を続けてください。
アトピー性皮膚炎の悪化、ご年配の方の皮膚の乾燥・かゆみ、寒冷、寒暖差によるしもやけなどこの時期に多く見られる皮膚症状もありますが、一年を通して比較的新患患者さんの少ない時期です。患者さんが多い時にはどうしても診察時間が短くなりがちですので、診察時にいろいろお話をされたい(ご質問をされたい)方はこの時期に受診されることをお勧めします。直接診察の内容と関係ないことでも、皮膚、アレルギーに関することであればご遠慮なくおたずね下さい。尚、リクエストの多いアレルギー検査や保湿剤の処方につきましては保険診療のしばりがありますので、患者さんによって対応が異なります。主治医が必要と考える検査や処方は保険診療で行なうことができますので一度ご相談ください。

(蛇足)以前に受診されていた他の皮膚科で大量の保湿剤を処方されていた方が、初診でいきなり大量の保湿剤を希望されることがあります。また、問答無用で一方的に「保湿剤を出して」と言われて、「出せない」で終わってしまうこともたまにあります。当クリニックでは初診時に治療歴を含めた症状の経過、現在の皮疹の状態が把握できて、必要と認められれば引き続き保湿剤を適量処方します。尚、当クリニックは院内処方のためⅠ回に処方する上限量は限られていますのでご了解ください。また、初診時に皮疹がほとんど見られない場合にスキンケアとして保湿剤だけを処方することは保険診療上できませんので、前医で引き続き処方をしてもらうか、症状がみられる時に受診していただければと思います。

2025/2/2


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