アトピー便り

アトピー便り123:外来近況

ついこの間まで異常に暑い日が続いていましたが、ここのところ朝夕は肌寒くなってきてようやく秋の気配が感じられるようになってきました。皮膚科的にはイベントがなければトラブルの比較的少ない過ごしやすい時期ですが、急激な寒暖差によって体調を崩すとウイルス感染症にかかりやすくなりますし、じんましんなども出やすくなります。汗による皮膚のトラブルから乾燥によるアトピー性皮膚炎、老人性の乾皮症などの悪化が危惧される季節に変わりつつあります。早めの治療、スキンケアを心がけて悪化しないようにしましょう。つい先だってNHKの『あしたが変わるトリセツショー』でスキンケアの特集をしていました。特にニキビ肌の人は大変役に立ちますので、是非NHKプラスで観てください。
手足口病が全国的に依然として大流行しているようですが、当クリニックでも散見されます。治療薬はありませんが、予防としては手洗いの励行が重要です。皮膚症状は激しい場合もありますが、全身状態が安定している場合は小児の登校、登園は可能です。すぐにお休みする必要はありませんので親御さんは落ち着いて対応してください。

2024/10/5

アトピー便り122:アトピー近況

アトピー性皮膚炎の症状は汗で悪化する患者さんと皮膚の乾燥が落ち着いて症状があまり目立たない患者さんとに分かれがちです。症状に応じて治療を継続してください。症状が比較的落ち着いていても治療を完全に止めてしまうと悪化することが多いので、ステロイド外用剤の量を少しずつ減らしたり、ランクを下げたり、非ステロイドの外用剤に変更したりして治療は続けましょう。夏場でも必要な方は保湿剤を併用してください。尚、保湿剤を使いすぎるとあせもができやすくなりますのでご注意ください。

花粉-食物アレルギー症候群の患者さんはイネ科、雑草のアレルギー症状が目立つ時期ですが、フルーツなどを食べた直後に口の中やのどに一時的に違和感も出ます。このような症状に心当たりのある方は、検査で診断が確定できる疾患の一つですので耳鼻科、アレルギー科でご相談ください。

(蛇足)先だって外来終了時間直前に口びるの荒れで受診された患者さんに対して接触口唇炎を考えてステロイド外用剤を処方しました。前の病院の薬で悪化して、以後治らずにずっと続いているとのことでした。一部水ぶくれ様、ヘルペスの可能性もありましたが、再診のうえで見極めできればと思いました。受診された時間の関係上詳細な問診(経過・治療歴など)はできていません。患者さん自身にも改めてきちんと診察できる時間帯に再診していただくように話しました。このようなケースでは良くなれば再診されませんし、悪化すれば他の皮膚科に行かれることが多いのですが、よくあるパターンで忘れた頃に再診されて前のこちらの治療では良くならなかったと言われることだけは止めてもらいたいものです。

2024/9/1

アトピー便り121:水いぼの治療について

酷暑により日光による皮膚のトラブルが一時目立っていました。患者さんに日光が原因だろうと説明しても、今までこんな症状は出たことが無いのでそれは違うと否定されることも何度かありました。今までないからこれからも無いということは、患者さん自身の体質が(生活習慣の変化、アレルギーの感作、感染症の既往、病気の罹患などにより)変わったり、老化がみられたりするので、皮膚病に限らずすべての病気において当てはまりません。そして何よりも今年は例年(通常)とは違う、過去にほとんど経験したことの無い暑さ、日光の強さがありますので、今までとは違うということを説明しています。

プールの時期になると水いぼの子どもの受診が多くなります。最近は水いぼがあっても泳げるケースが増えてきたためか、受診される子どもは以前よりも減ってきている感じはします。水いぼの治療で戸惑うのは、アトピー性皮膚炎など元々の皮膚病は別に主治医がいながら、水いぼの治療だけを当クリニックでして欲しいというケースです。水いぼの治療はピンセットで患部を摘まみとりますが、痛い上に血も出ますので子どもさんにとっては耐えがたく、乳幼児の場合通常は泣き叫んだり暴れたりします。痛い治療を一度でもすれば子どもさんには当然嫌われますし、次回からは敬遠されます。治療自体は1回で終わることはほとんど無く、免疫ができるまでは何度でも再発します。子どもさんに嫌われる汚れ役のためだけにこちらに来られるのは止めていただきたいと心から思います。水いぼの治療も主治医にしてもらいたいものです。尚、当クリニックでは治療に先だってペンレステープⓇを使うこともありますので、主治医が使っていないためにこちらに来られる場合もあります。小さな子どもさんはテープを使っても怖がったり、痛がったりしますし、テープを貼って1時間後に治療をしますので比較的混み合う土曜日や終業間近の時間帯には除痛のためのテープを貼る治療は行なっていませんのでご了承ください。

(蛇足)以前に手荒れで他医でもらっていた外用剤が効かないということで当クリニックを受診し、別の強い薬を処方していた患者さんが数か月ぶりに再診されました。元の外用剤の方が良く効くとのことで処方を希望されましたが、一度も再診なく経過を確認できていませんでした。こちらで治療した時期だけ症状がひどかった(悪化因子があった)、こちらの薬でかぶれた、あるいはどちらも同じように効いた、どちらも同じように効かなかったというのであれば理解できますが、元の外用剤の方が良く効くというのは有り得ませんので、こちらで処方していた薬をもう一度出しました。それに加えて足の裏のがさがさの薬(他医でもらっていた尿素)を出してくれとのことでしたので処方しました。結局のところ、事の顛末からは信頼できる他医(主治医)が混み合っていて、こちらに来られたのだろうと推測しました。間違ってたらゴメンナサイ。夏場になるとこのようなケースが特に多くなり、(来ていただけるだけでありがたいのですが、)どうしても内容によっては義憤に駆られてしまうこともあります。極力表情や態度に出さないように心がけてはいますが、当方はコミュニケーション力が低いので、もし出ている場合は(ちょくちょく出ているかもしれませんが)何卒ご容赦ください。

2024/8/8

 

 

 

アトピー便り120:念には念を

強い日差しのもと、日光、汗による皮膚のトラブルにご注意ください。衣服で露出部位を減らしたり、日焼け止めや帽子、日傘などを正しく使って日光に当たりすぎないようにしましょう。汗はアトピー性皮膚炎の悪化因子の一つに挙げられますし、金属アレルギーの症状を誘発しますが、汗自体は良い働きもありますので、シャワーを浴びたり、おしぼりで汗を拭うなどして汗が長く皮膚に残らないように気をつけましょう。この時期明らかな乾燥肌が見られない子どもさんがスキンケアとして保湿剤を使いすぎますとあせもが出やすくなりますので注意しましょう。
イネ科の花粉症の方は症状が目立つ時期ですので、特にフルーツなどを食べてのどに違和感を感じる方は一度検査をして調べてみてください。

少し前になりますが、ある患者さんが手のひらだけに皮疹がみられて受診されました。鑑別診断として汗疱(かんぽう)、接触皮膚炎(かぶれ)などを一通り説明しましたが、患者さん自身は梅毒を心配していました。感染(の可能性のある)機会から数か月経過しており、日数的にはあり得ましたが、ばら疹などの他の2期疹が見られなかったことなどとあわせてその時の皮膚症状からその場で否定しました。ところが、陰部にみられる1期疹についてはきちんと問診していなかったのであったかどうかは分かりません。その後再診がなかったので梅毒ではなかったのだろうと思いつつも、昨今の梅毒患者数の増加を鑑みてひょっとしてと思ったりもしました。問診については先入観や思い込みにとらわれずに念には念を入れて丁寧に聞く必要がありますし(実際にはきちんとできているとは言えませんが)、良くならなかったり、何か問題があった時にきちんと再診していただけるように十分に説明をしておく必要があると再認識させられました。

(蛇足)初診患者さんから予約のお問い合わせを受けることが多いのですが、当クリニックは(初診患者さんの)予約診療はしていません。一方で定期的に通院され(てい)る再診患者さんを対象に土曜日以外は予約を受け付けておりますが、実際に予約される方は今のところいらっしゃいません。あまり周知されていないこともありますが、定期的に通院していただいている患者さんは予約して時間を調整しながら慌ただしく来られるよりも空き時間に自由に受診できるほうが良いのかもしれません。予約のお問い合わせの際に多くの方に普段の外来の混雑具合を聞かれますが、天候や(季節性、感染性の)疾患のはやり具合、他の皮膚科の混み具合の影響を受けて外来の混雑度は変わってきます(概ねのんびりしています)。極端に暑い日、寒い日、雨風の強い日には初診、再診いずれの患者さんも少なくなりがちですが、アウトドアシーズンになると皮膚のトラブルも多くなり初診の患者さんが時間帯(土曜日やお休み明け、学校・仕事終わりの時間など)によっては集中しがちです。近隣の皮膚科が混んでいる時(中には二時間半待ちもあり)には診療を比較的遅くまでしているため終了時間間際に駆け込みで来られたり、土曜日にはいつもの皮膚科で予約をとれずに仕方なくこちらに来られる患者さんも少なからずいらっしゃいます。このような状況で他医から来られる患者さんにつきましては十分に診察時間がとれませんし、その後短期間で再診される(続けて通院される)こともほとんどありませんので、定期的に通院していただいている患者さんとは異なる対応になってしまいますことをお含みおきください。また同じ症状で当クリニック以外の皮膚科を受診されている(のが分かる)場合には基本的には他医がメインであることが多いのでそちらで治療を継続されることをお勧めしています。尚、それでも不定期に当クリニックを再診いただく場合もありますが、説明や治療(方針)が異なる可能性がありますので患者さん(親御さん)からはっきりとしたご要望・意思表示(セカンドオピニオン、主治医依頼など)が無ければこちらから積極的に対応(説明)させていただくことはありませんのでご了承ください。

2024/7/11

 

アトピー便り119:じんましん?

暑くなるのにつれて日光、汗による皮膚のトラブルが目立つようになりました。アトピー性皮膚炎、金属アレルギー(かぶれ)は汗が悪化因子になりますのでご注意ください。

患者さんのかゆみの訴えが非常に強いものの、診察時には皮膚の変化は乏しくて、掻き痕がわずかに見られるだけのケースがしばしば見られます。このような場合には、掻き痕の一部は湿しんになっていることが多いので通常はステロイド外用剤を処方して経過を観ます。患者さんの多くはお薬を塗ると治るので付け薬を続けて処方して欲しいということで再診されますが、掻き痕は相変わらずで実際はあまり良くなっていません。このようなケースで最も疑われる疾患はじんましんです。典型的なじんましんであれば受診時に皮疹が見られなくても、皮疹がみられた時にスマホに皮疹の写真を撮って持ってきていただければ比較的簡単に診断できます。一方で、軽症のじんましんでは症状が目立たないために患者さんの多くは皮疹そのものを自覚されていません。そのために外用剤だけ塗っていて症状がくすぶっているケースが目立ちます。塗り薬を塗った後に症状がなくなりますので患者さんは塗り薬が効いていると思いがちです。実際のところはじんましんは塗り薬と関係なく、皮疹自体は時間が経てば一旦消えますが、再発を繰り返します。適切な治療はステロイド外用剤ではなく、抗ヒスタミン薬の内服になります。患者さんにこれらを説明しても受け入れられない(付け薬だけで良いと言われる)こともよくありますが、通常は診断学的治療として抗ヒスタミン薬の内服を試します。じんましんの治療は症状にあわせて内服薬の継続が必要で、長期にわたって内服を続けるケースも珍しくありません。そのため「飲み薬は効かなかった」と言われて再診される患者さんの中には、お薬は効いていながら飲むのを止めて再発している方が混じっていますので注意が必要です。

(蛇足)たまたま最近遭遇したケースですが、今まで内科でじんましんの薬をもらっていて、そこが閉院するので引き続き薬を処方して欲しいとのことでした。前医と同じ抗ヒスタミン内服薬を処方しようとしましたが、一緒に外用剤(クロタミトン含有)を処方して欲しいと言われました。皮膚科的には疾患としても、現在の皮疹の状況からしても不要でしたので処方をお断りした上で、どうしても同じ外用剤が欲しいなら薬局で購入可能な旨をお伝えしたところ、即座にキャンセルして帰られました。ひっかき傷(湿しん)が確認できればステロイド外用剤を処方しますが、じんましんの症状だけで外用剤を処方することは通常はありません。

2024/6/2

 

 


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